小規模不動産特定共同事業 小規模第2号事業者の役割とは?
不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。
不動産特定共同事業(不動産クラウドファンディング)には第1号、2号、3号、4号事業者と、4種類もの事業者の種類がありました。
それぞれ行える事業の種類や範囲、許可要件が異なり、最終的には、すべての業務を行える第1号事業者を目指すことが、不動産特定共同事業者の目標と言えるでしょう。
しかし、それらの不動産特定共同事業者になるにはまず、資本金要件のハードルが高いですよね?
そんな事業者にも参入しやすくしたのが小規模不動産特定共同事業ですが、こちらにも、小規模第1号事業者、小規模第2号事業者という種類があるのです。
小規模第1号事業者は、そのまま不動産特定共同事業で言うところの、第1号事業者の小規模版だと思っていただければ良いのですが、小規模第2号事業者は、通常の第2号事業者とは異なります。
今回はそんな小規模第2号事業者について解説します。
小規模第2号事業者の概要 ~第2号事業者との違い~

小規模第2号事業者は、小規模特例事業者(SPC)から委託され、現物不動産の不動産取引に係る業務を行う事業者のことを指します。
通常の第2号事業者は、第1号事業者からの委託を受け、投資家への勧誘をする業務を行います。
しかし小規模第2号事業者は、SPCからの委託を受け、運用業務を行います。
つまり、不動産特定共同事業での第3号事業者にあたる業務と言えるでしょう。
数字だけで見ると少々ややこしいですね。
そして、特例事業と同じく、小規模特例事業でも、投資家への勧誘(募集)業務に関しては第4号事業者が行います。
第4号事業者のみ、不動産特定共同事業も小規模も共通で業務を行えることになります。
不動産特定共同事業のスケールを小さくし、参入ハードルを下げたのが小規模不動産特定共同事業と言えますが、その中身は結構違いがあると思った方が良いでしょう。
小規模第2号事業者の登録要件

小規模不動産特定共同事業は、規模の小さな企業の参入も促し、不動産特定共同事業を活性化、空き家や土地などの不動産の有効活用に繋げるため、平成29年の不特法改正によって新たに創設された事業。
従来の不動産特定共同事業と比べてかなり参入ハードルは低くなりました。
では、小規模第2号事業者の登録要件を具体的に見ていきましょう。
まず、従来の不動産特定共同事業とはちがい、許可制ではなく登録制です。
事業者になるための手続きは、主務大臣又は都道府県知事による登録となります。
次に資金力の点では、資本金1000万円以上。純資産≧(資本金又は出資の額×90/100)という要件があります。
第3号事業者の資本金要件は5000万円なので、その5分の1と考えるとかなりハードルは低くなりましたね。
一番難しいのは業務管理者の設置でしょうか。
業務管理者とは、宅地建物取引業の免許保有しており、且つ、不特事業にかかる3年以上の実務経験もしくは、国土交通大臣が指定した講習を受講している、あるいは登録証明事業にかかる証明を有している者。
他にも要件はありますが、詳しくは国土交通省の「不動産特定共同事業等について」を御覧下さい。
小規模第2号事業者は自社商品を運用できない?

前述のとおり、小規模第2号事業者は、SPCから委託され、現物不動産の不動産取引に係る業務を行うスキームです。
また、SPCから業務委託されたファンドの運用のみ可能で、自社が保有する不動産を直接運用(出資金を保有)することもできません。
そして、その募集業務に関してはまた別で、第4号事業者に委託されます。
つまり、小規模第2号事業は特例事業(SPC)ありき、第4号事業者ありきの事業であるということになります。
しかし、不動産の運用をしたいと考えた場合に、そのプロジェクト専用の別会社(SPC)を作り、そちらで不動産を取得。その会社から委託を受けたということで、小規模第2号事業者として運用を行うことは可能です。
そうすれば、多少お金の流れや手続き、許可取りが複雑化し、手間も時間もかかりますが、第1号事業者と同じように不動産小口化商品(ファンド)を組成し、運用することもできます。
ただし、小規模なので以下のような制限はあります。
●SPCが受けることができる出資の合計額は1億円以下
●投資家一人あたりから受けられる出資上限は100万円以下(特例投資家の場合は1億円以下)
●複数のSPCから委託を受ける場合、委託を受ける全てのSPCに係る出資の合計額は10億円以下
以上のような事業規模の制約はありますが、ファンドの組成や運用をある程度自由に行うことは可能です。
まとめ
従来の不動産特定共同事業には第1号事業者~第4号事業者まで4種類ありましたが、小規模不動産特定共同事業は小規模第1号事業者と小規模第2号事業者の2種類です。
しかし、小規模第2号事業者は、小規模特例事業にて、SPCから委託を受けてはじめて業務を行え、それも募集業務は第4号事業者に委託されるという複雑な構図になっています。
また、通常の第2号事業者と小規模第2号事業者は行える業務が全く異なる点にも注意が必要です。
小規模の方は参入しやすい分、何かと制約もあります。
しかし、SPC(特例事業)をうまく活用すれば、ファンドの組成や運用をある程度自由に行うことも可能。
もちろん第1号事業者などと比較すると、その規模や自由度に差はありますが、まずは小さな規模で業務に慣れ、実績や投資家からの信頼を積む為にも有効ではないでしょうか。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
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