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不動産特定共同事業を行う上で作成が義務付けられている財産管理報告書とは?

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

不動産特定共同事業法(不特法)では、企業が投資家から出資金を集め、不動産を自由に売買、活用することを後押しするとともに、運営会社の倒産等によって不測の損害を被らないよう、投資家保護の仕組みも整えられています。

その投資家保護の一環として義務付けられているのが「財産管理報告書」の作成です。

不動産特定共同事業不動産クラウドファンディング)では大抵、投資家は不動産の運営や管理には関わりません。

投資後は何もせず、分配金の配当や償還を待つのみとなります。

しかし、財産管理報告書があることで運用状況を知ることが出来るので、投資家にとっては安心材料となるのです。

今回は財産管理報告書について詳しく見ていきましょう。

財産管理報告書の概要

財産管理報告書とは、不動産特定共同事業契約に係る財産の管理状況についての情報を、投資家に周知するための書類です。

当該ファンド不動産小口化商品)が償還(期末)を迎えると、その運用実績として公開されます。

また、その作成期間は一年を超えない期間ごと、と定められています。

つまり最低でも年に一回は、投資家へ送付(公開)することが義務付けられています。

そして原則、当該ファンドに出資した投資家しか閲覧することができません

そのため、既に償還された物件でも、出資をしていない人は閲覧できなくなっています。

その内容は、

・報告対象期間中における投資家の出資の割合

・報告対象となる期間と、その直前の三年間の不動産取引の内容、各不動産取引から生じた収益や利益、損失の状況と運用の経過

・報告対象となる期間と、その直前の三年間の、それぞれの満了日における当該不動産特定共同事業契約に係る財産の状況

等を記載するよう定められています。

また、業務管理者による管理監督と、記名捺印が必要です。

掲載義務のある内容以外については運営会社によってまちまちですが、当該物件の建物の外観や所在地、構造などが記されていることもあり、不動産投資をしている実感を持つことにも繋がります。

財産管理報告書と事業報告書との違い

不特事業者にはもう一つ、「事業報告書」の作成も義務付けられています。

こちらは毎事業年度経過後3か月以内に提出しなければいけません。

では、財産管理報告書と事業報告書にはどのような違いがあるのでしょうか?

目的

事業報告書は、不特事業者全体の情報開示が目的です。

事業の概要や状況だけでなく、運営する事業者の決算情報や役員の情報など、不特事業者そのものの信頼性を見るものになります。

よって、書類は不特事業者ごとに作成されます。

財産管理報告書は、不動産取引の情報開示が目的です。

対象ファンド(不動産)に係る財産の状況や、投資家の出資持分、業務委託内容など、各ファンドの契約に関する実施状況を見るものとなります。

よって、書類は事業(ファンド)ごとに作成が必要です。

情報の開示先

事業報告書は、投資家にも開示されますが、提出先は行政機関となります。

報告内容を確認することで、事業者が不特事業を安全に執り行えるか?許可が取り消しとなるような事由が発生していないか?等をモニタリングをしています。

財産管理報告書は、投資家への提出(開示)です。

決算情報の開示

事業報告書では、不特事業者全社の決算情報を開示しなければいけません。

貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書などが必要。

また、それらは公認会計士か監査法人の監査を受けなければならないとされています。

財産管理報告書は、当該の不特事業に係る決算情報のみの開示です。

こちらについては、監査を受けるかどうかは任意となっています。

財産管理報告書は電磁交付可能?

財産管理報告書は、送付だけでなく、電磁交付も可能です。

国土交通省の「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」に則り、オンラインで公開、閲覧することもできます。

ただし、電磁的方法による提供が可能な体制(プライバシー保護等が充分)であること。

電磁交付であることについて事業参加者の承諾が得られていることが条件です。

また、不特事業者に代わり第3者が電子取引を行う場合には、当該不特事業者の財産管理報告書に記載すべき内容に係るデータ提供を義務付けることと、ホームページ上での、委託している旨の掲載が求められます。

不動産クラウドファンディングを行う企業であれば体制には問題ないかと思いますが、第3者が関わっている場合は、少々手間が増えることに注意が必要です。

まとめ

不特事業者は1年毎に財産管理報告書の開示が義務付けられています。

財産管理報告書は、投資家が出資した物件の運用状況や成果の詳細を知るもの。

投資した物件で得られた収入、かかった経費、最終的な売却額などを知ることで、当該ファンドの分析に役立ちます。

その分析が、次のファンド選びのヒントにもなり得ます。

事業者の物件の目利き能力や、管理・運用能力の高さの判断基準にもなるでしょう。

先にも述べたとおり、記載義務のある事項以外は、内容は会社によって様々です。

少しでも投資家に安心感を与える工夫をすることで、財産管理報告書がリピーターに繋がるきっかけになるかもしれません。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本

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