不動産クラウドファンディング

不動産特定共同事業における契約成立前書面とは?

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

不動産特定共同事業不動産クラウドファンディング)は紛れもなく投資商品の一つ。

その契約に際しては、事業者から顧客へ、十分な説明が求められます。

中でも契約成立前書面は、いざ契約を締結する直前の最終確認として顧客に渡る説明書。

事業者としても、これを渡す時が最も気を遣うべき局面と言えるでしょう。

これから事業を行う企業様も、まずはこの書面の作成がポイントではないでしょうか。

今回はそんな契約成立前書面について解説いたします。

契約成立前書面=重要事項説明書

契約成立前書面と言うと、金融商品をイメージされる方もいるでしょう。

不動産会社様には、重要事項説明書と言った方が馴染み深いのではないでしょうか。

こちらは不動産投資ではおなじみですよね。

どちらかと言うと、不動産特定共同事業(不特事業)のサイトや資料においても、重要事項説明書と記載されていることが多いです。

契約成立前書面は、不動産特定共同事業法第24条で以下のように定められています。

不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約が成立するまでの間に、その申込者に対し、不動産特定共同事業契約の内容及びその履行に関する事項であって主務省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。

つまり、契約締結前に投資家に対して「書面」にて渡す必要があるのです。

しかし、今やクラウドファンディングの方が主流ですよね?

そこで、

政令で定めるところにより、申込者の承諾を得れば、書面による交付に代えて、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法でも提供が可能

とされています。

投資家から電子での発行の承諾が得られれば、国土交通省が定める電子取引業務ガイドラインに準拠した方法で発行した電子書面の送付も認められます。

契約成立前書面の内容

契約成立前書面の主な内容は以下のとおりです。

・事業者の概要 ・本事業の契約内容について ・本事業契約にかかる法令の概要 ・事業参加者(出資者)の権利および責任の範囲等について ・対象不動産と不動産取引の内容 ・対象不動産にかかる賃貸契約などについて ・出資者に対する収益や利益(分配金)について ・事業にかかる財産の管理について ・契約について ・事業者の報酬について ・対象不動産の所有権に関して ・事業実施により予想される損失発生要因やその負担(リスク)について 事業および財産に関する情報開示について ・対象不動産の売却や変更について etc.

出資者はこれらをよく理解した上で、確認書に契約日と住所・指名を記入、押印します。

不動産クラウドファンディングの場合は、電子署名となります。

内容が多く、正直なところ、投資家もどこまで目を通しているかは定かではありません。

しかしこの書面こそが後に残る証拠となるので、漏れも間違いも無く記載しましょう。

そして、特に不動産クラウドファンディングは投資に慣れていない方も多くいます。

後々のトラブルを防ぐためにも、書面は十分に読み、内容を理解した上で契約してもらうよう促すことが必要です。

契約成立前書面を作成するには

契約成立前書面には、業務管理者の記名が必要です。

業務管理者はいわば、不特事業における責任者。

運営会社の代表者名、事業の許可番号とともに、表紙に併記されている場合がほとんどです。

また、

・直前3事業年度の貸借対照表及び損益計算書の要旨

・現行の対象不動産の鑑定評価の有無と当該鑑定評価の結果

・関係会社との不特事業にかかる重要な取引(年間取引額が対象不動産の全賃料収入の10%以上)の状況

なども記載する必要があるため、税理士や不動産鑑定士、関係会社の協力も必要になる場合があります。

何より、法律が大きく関わる書面なので、作成にはプロの目が入る方が良いでしょう。

法律面でのサポートを受けるなら、行政書士に相談することをオススメします。

行政書士は、許認可申請でお世話になることもあるでしょう。

しかしそれだけでなく、事業戦略や商品、ファンド不動産小口化商品)のスキームの立案、財務や会計、マーケティングの提案やアドバイスなど、様々な面でサポートをしてもらえる場合も。

不動産に精通した行政書士なら法や税にも強く、契約成立前書面の作成支援も可能です。

電子取引業務のシステム構築支援や内部監査の実施など、実務的な部分のサポートができる方もいるでしょう。

ただ、不動産に強くない行政書士もいますので、しっかり見極めて依頼しましょう。

契約成立前書面は電子発行も可能

先程も少し、契約成立前書面の電子発行について触れましたが、このように書面をインターネット上で交付することを、電子的交付と言います。

契約成立前書面だけでなく、契約書など、不特事業者から投資家への交付が義務づけられている書面を、インターネットを通じて交付することを指します。

電子的交付を行うには、まずは国土交通省のガイドラインに準拠した電子取引業務を行える体制作りが必要です。

電子情報の管理・処理能力が十分か?

事業者は電子取引業務を行うのに適した財務状況や事業計画となっているか?

クーリングオフ制度は制定されているか?

事業者は出資者に対し、定期的な情報発信があるか?

といったことが、ガイドラインの主な要件です。

これらをクリアすれば、電子取引業務を行えるようになります。

そして、契約成立前書面の電子的交付も可能になります。

ただし電子的交付は、投資家から電子での発行の承諾が得られることも条件。

そのため多くの不動産クラファンでは、電子的交付の同意が得られない場合は出資不可となっています。

まとめ

契約成立前書面は重要事項説明書とも言われ、文字通り大切な情報が詰まったもの。

不特事業においては契約書と同じくらい重要なもので、本来であれば書面での交付が義務付けられています。

しかし不動産クラファンの出現とともに、電子的交付も認められるようになりました。

その内容は、契約内容のことから経理的な面、不動産の価値に関することまで多岐に渡るため、自社だけで、不備なく、不足なく書面を作るのは至難の業かもしれません。

時には各項目のプロの手も借りながら、法律に則った、適正な契約を結べる書面を作成してください。

この部分の力の入れ方こそ、事業の成否を左右するのではないでしょうか。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本

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