不動産特定共同事業の許可取得後に必要な事業報告書とは?
不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。
不動産特定共同事業(不動産クラウドファンディング)は、特に財産面で厳しい要件が課せられ、許可を取得するまで非常に長い道のりだったかと思います。
しかし、許可取得後も、財産面での健全性は変わらず求め続けられます。
その中の一つが事業報告書の提出&開示。
年に一回の提出が義務付けられており、その作成作業はなかなか骨の折れるもの。
今回はそんな事業報告書について解説します。
これから不動産特定共同事業(不特事業)を始める事業者様は必見です!
事業報告書とは

不特事業では投資家保護の観点から、許可取得後も、事業者に対して継続的な情報開示を求めています。
具体的には、事業報告書と財産管理報告書の作成。
それらを投資家及び行政機関に対して開示することを義務付けています。
今回は事業報告書について解説します。
事業報告書は、
・事業全体の概要
・不特事業実施、締結業務の状況
・主要な株主または社員の名簿、事業者の決算情報
などが示されたものです。
事業報告書は毎事業年度経過後3か月以内に、許可を受けた行政機関(国土交通省または都道府県)に提出しなければいけません。
そして、事業報告書に必要な上記項目のうち、決算情報については、公認会計士または監査法人の監査を受けなければならないとされています。
事業報告書に必要な会計監査とは

定期的に会計監査を受けているのは、主に上場企業等の規模の大きな会社に限られます。
そのため、不特法の許可申請を行う多くの企業は、会計監査を受けたことがありません。
会計監査とはそもそも、帳簿と書類の照合やヒアリングを通して、決算書が正しいことを公認会計士が検証し、監査報告書にまとめること。
また、不特法で求められる会計監査は、通常の会計監査とは少々異なる部分があります。
不特法において必要なのは、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書の3種類。
そして事業報告書は、不特事業を行う事業者そのものの情報を開示することが目的です。
例えば不特事業を行うA社が、飲食店の経営も行っていたとします。
すると、事業概要や状況、決算情報においても、不特事業だけでなく、飲食事業の方も開示しなければならないのです。
事業報告書を作成するには

事業報告書の提出様式は、国土交通省の「不動産特定共同事業の許可申請書等の様式及びモデル約款等」よりダウンロードできます。(様式第10号・第11号)
必要な項目がシートごとに分けられており、それぞれに記入していきます。
事業概要や業務状況調書、主要な株主又は社員の名簿は自社で対応できるでしょう。
しかし、比較損益計算書・株主資本等変動計算書・比較損益計算書(決算情報)については、会計監査を受けた上で記入しなければなりません。
会計監査は、公認会計士または監査法人へ委託することになります。
監査に必要な資料や情報を用意する必要があり、企業側もなかなかの業務量となります。
例えば総勘定元帳や仕訳帳等の帳簿類は必ず求められますし、それらの根拠資料も必要。
根拠資料については、かなり前に遡ったものが必要になる場合もありますし、書庫を捜索したり、顧問税理士に問い合わせたりと、大掛かりな作業になることも。
そして、資料が揃えばそれらの照合、分析を行い、不明点などがあれば経理担当者に質問、回答を繰り返し、場合によっては修正し、決算書を作成・チェックしていきます。
これらが全て完了し、監査報告書を受領。
事業報告書として提出という流れになります。
これらの作業を、毎事業年度経過後3か月以内に行わなければなりません。
事業報告書(決算情報)作成の委託先を選ぶポイントは?

先程も述べたとおり、不特法の会計監査は通常の監査とは異なる部分があります。
そのため案件数も比較的少なく、監査業界では非常にニッチな分野とされています。
つまり、不特法の会計監査の経験がある会計士はほんの一握り。
不特法自体をよく知らない人も多いのです。
しかし、これまで見てきたとおり、不特法で必要な会計監査は期限(作業に使える時間)が短く、やるべきことは多い中、制度をよく理解していない会計士に頼むのは非常にリスクが高いです。
多少、費用が高くても、不特法監査の経験があり、専門性の高い会計士に委託することをおすすめします。
とは言え、なるべく費用も抑えたいですよね?
そこで一つ考えられるのは、小規模監査法人や個人会計事務所に委託する方法。
規模の大きな監査法人の方が信頼や実績が大きいとも言えますが、不特法のようなニッチな分野の場合、規模よりも知識と経験量の方が重要。
それに、小規模な監査法人の方が間接経費が抑えられ、監査報酬が安価になる傾向にあります。
また、会計士との距離も近くなり、頻繁に担当者が変わることも少ないでしょう。
お互いに信頼関係が築ければ、良き相談相手にもなりますし、監査における判断や処理に関して、柔軟に対応してもらえることも。
まずは不特法に精通した会計士を探してみて下さい。
まとめ
不特事業の許可取得後は、毎年、事業報告書の提出および開示が必要です。
事業報告書には決算情報が必須で、会計監査を受けたものしか認められません。
不特法の会計監査は特殊であることと、資料の準備や、事業報告書の他の項目の記入も併せて進める必要があることから、不特法監査の経験豊富な会計士へ委託できるのが理想。
それさえできれば、事業報告書提出に向けたスケジューリングや、的確なアドバイスを受けながら、問題なく期限内の提出が可能でしょう。
前述の、委託先選びのポイントも参考に、ぜひ、良きビジネスパートナーとしての会計士を探し、事業報告書作成に備えて下さい。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
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