不動産特定共同事業

小規模不動産特定共同事業への近道となる?資格講習とは?

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以前の記事で、小規模不動産特定共同事業への登録要件をご紹介しました。

従来の不動産特定共同事業と比較すると参入しやすいことが特徴でしたが、中でも一番のポイントなのが、業務管理者の資格講習が受けられること。

小規模も含む不動産特定共同事業の登録には業務管理者の設置が必須ですが、その業務管理者になる条件の一つ、

主務大臣が指定する不動産特定共同事業に関する実務についての講習を修了した者

を満たすことができるのが、前述の資格講習なのです。

これは、現時点では小規模不動産特定共同事業向けにしか開催されておりません。

では、この資格講習とは一体どのようなものなのでしょうか?

小規模不動産特定共同事業登録までの流れと、その先に目指せることまで見ていきましょう。

資格講習ができた背景

そもそも小規模不動産特定共同事業は、規模の小さな企業の参入も促し、不動産特定共同事業を活性化、空き家や土地などの不動産の有効活用に繋げるために、2017年の不特法改正によって新たに創設された事業です。

資本金要件や、許可制ではなく登録制になったことは、たしかに参入ハードルを引き下げました。

しかし、登録要件の一つである「業務管理者の設置」については、

宅地建物取引業の免許を保有している(宅地建物取引士である)ことの他にもう一つ、業務管理者として認められる為の3つの条件(いずれかに該当すればOK)

ア、不動産特定共同事業の業務に関し、3年以上の実務の経験を有する者

イ、主務大臣が指定する不動産特定共同事業に関する実務についての講習を修了した者

ウ、登録証明事業から上記アと同等の能力を有するとの証明を受けている者(不動産コンサルティングマスター、ビル経営管理士、不動産証券化協会認定マスター)

を満たすことが困難なため、新規での参入者は思うように増えませんでした。

実はこの時点では資格講習というものは存在せず、実質、「イ、」の条件を満たすことは不可能だったのです。

小規模不動産特定共同事業の資格講習とは?

そんな状況に一石を投じた出来事が、2019年5月、日本ビルヂング経営センターが、小規模不動産特定共同事業の資格講習の実施事業者として指定を受けたことです。

これにより、同社が行う「ビル経営管理講座」「小規模不特事業講座」を受講、修了することで、業務管理者の要件の一つである「イ、主務大臣が指定する不動産特定共同事業に関する実務についての講習を修了した者」を満たすことができるようになりました。

講習の内容は、

ビル経営管理講座は、テキストとWebでのeラーニングによる通信教育講座。

修了要件は、添削問題と確認テストの実施です。

このビル経営管理講座を修了することで、次に小規模不特事業講座が受講可能となります。

小規模不特事業講座では、受講生サイトを用いたeラーニングと、オンライン研修(ワークショップ)を受講します。

修了要件は、①Web講義の受講、②ワークショップ参加、③修了試験の合格 の3つ。

修了試験は、PCが設置された試験会場で受験するCBT(Computer Based Testing)方式で実施されます。 受講申込期日や履修期間、定員が設定されているものもあるので、詳細は日本ビルヂング経営センターのWebサイト(https://www.bmi.or.jp/index.html)をご確認下さい。

資格講習を受けるメリット

以上のように、2つの講習を受けることで、業務管理者の要件はクリアできることが分かりました。

その他の方法で業務管理者を得る手間を考えると、それだけでもかなりのメリットと言えますが、他にも資格講習を受けると良い理由があります。

基本的な知識が身につく

講座では、

●物件(ビル)経営の企画・立案、管理や運営について

●小規模不動産特定共同事業の概要

●小規模不動産特定共同事業における業務管理者の役割

●税務や運用計画の策定などの実務

などの基本的な知識を身につけることができます

不動産特定共同事業に関してはゼロからのスタートとなる人でも入りやすいのではないでしょうか。

クラウドファンディングにも対応

不動産特定共同事業におけるクラウドファンディングについても講習があります。

●クラウドファンディングの概要

●クラウドファンディングに対応した不特法の整備について

電子取引業務について

●不特法の電子取引業務ガイドラインについて

●電子取引業務を行う場合の留意点(電子取引業務を行うための業務管理体制など)

などの、クラウドファンディングによる事業を行う場合に必要な知識も得ることができます

このように、実際に事業を行う上で必要&役立つ知識を教えてもらえるのは、新規参入者にとっては、既存事業者に追いつく大きなチャンスです。

資格講習の受講から不動産特定共同事業への道

冒頭にもあったとおり、「主務大臣が指定する不動産特定共同事業に関する実務についての講習」は、今のところ小規模不動産特定共同事業向けにしか開催されておりません。

つまり、従来の不動産特定共同事業における業務管理者になるには、前述の「ア、」もしくは「ウ、」の条件を満たさなければなりません。

でも実は、ア、不動産特定共同事業の業務に関し、3年以上の実務の経験を有する者

に関しては、小規模不動産特定共同事業の業務管理者を3年以上経験することでも条件を満たすことになるのです。

よって、まずは実務講習を受講し基本知識を身に付け、小規模不動産特定共同事業で実際の業務を経験。

ある程度業務に慣れた上で不動産特定共同事業にステップアップするという、非常に合理的な道があるのです。

将来性を考えても、非常に有効な方法ではないでしょうか。

まとめ

小規模不動産特定共同事業における業務管理者を得る最も堅実な方法が資格講習の受講。

他の方法よりも時間もリスクも抑えられる可能性が高いでしょう。

更に、従来の不動産特定共同事業へとステップアップするための近道にもなります。

今後ますます参入企業の増加が見込まれる小規模不動産特定共同事業。

クラウドファンディングでの事業展開をお考えの事業者様も含め、実務講習の受講からの登録を目指す道も、ぜひ検討してみて下さい。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本

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