不動産特定共同事業

不動産特定共同事業における出資者へのリスク。事業者はどう向き合うべきか?

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

不動産特定共同事業の成功の鍵はメリットよりもリスクにある!

不動産特定共同事業の最大のメリットは、投資初心者でも始めやすい手軽さにあります。

しかし、その手軽さの裏にあるリスクが気になり、どうしても一歩を踏み出せない人も。

事業者としては、そのリスクに勝るメリットがたくさんあることを打ち出したいところですが、それだけでは出資者を後押しすることはできないかもしれません。

なぜなら、お客様(特に投資初心者)は、投資=リスクがある、ということは分かっていても、具体的にどのようなリスクがあるのかまでは分かっていない、分からないから余計に怖いというような、意味食わず嫌いに似たところがあるのです。

そんな人に対していくらメリットを並べ立てても、「騙されたと思って一度やってみなよ」と言っているようなもの。それではなかなか出資の決断はしてもらえないでしょう。

そこで今回は、不動産特定共同事業のリスクについて、事業者はどう向き合うべきかを考えていきます。

これから不動産特定共同事業への参入をご検討中の事業者様や、他社との差別化にお悩みの事業者様はぜひ最後までご覧下さい。

大前提として投資商品であることのリスク

投資にリスクはつきもの

まず、不動産小口化商品は、いくら少額から気軽に始められると言っても「投資商品」であることに違いはありません。

投資である以上、元本保証やノーリスク、利率の固定は法律で禁止されています。

よって、基本的に不動産特定共同事業では、想定利回りや、配当イメージといった表現をされます。

想定利回りというのは、対象物件が満室であると想定した場合における年間賃料収入を基に計算された利回りのことです。(想定利回りについて詳細はこちら

つまり、具体的な数字は出ていますが、あくまでも「想定」なので、その通りに配当され、元本償還もされる場合もあれば、そうではない場合もあるということです。

この「そうではない場合」が具体的にどういうことになるのか?

例えば、対象物件に空室が出てしまった場合は、想定から外れることになるので利回りに影響が出ます。

また、地震などの災害で建物自体に損傷が出たり、そのエリアの地価が下がったりすると、対象物件の売却額が下がり、元本償還に影響するといった状況が考えられます。

想定利回りの数字が高いほど、高い利益を挙げられる可能性はあると言えますが、必ずしも、運用期間中ずっとその利回りで配当を受けられるかは分かりませんし、元本も満額償還されるとは限りません。

もちろん、そうしたリスクへの対策もとられますが、それについては次の項目で触れます。

まずはこうした「投資商品」であることのリスクをはじめに理解してもらう必要があるでしょう。

投資対象が不動産であることのリスク

不動産ならではのリスクも

不動産特定共同事業は不動産投資のひとつで、現物資産です。

自然災害や事故、火災等により損傷があると、当然その価値に影響が出ます。

また、基本的に利益は入居者やテナントからの家賃から配当され、空室が出ると配当に影響が出るだけでなく、対象不動産の評価額も下落する恐れがあります。

そうなると、配当の遅延や減額、元本の棄損の可能性も出てきます。

不動産クラウドファンディングにおける元本割れリスクついて詳しくはこちらの記事をご覧下さい。

ただし、これらのリスクへの対策として、マスターリース・サブリース契約や、優先劣後システムなどが存在します。

リスク対策についてはこちらの記事でも詳しく解説しております。

リスクをきちんと知ってもらった上で、その対策としてどのようにリスクを抑えられるのか、具体的に分かりやすく伝えることが大切です。

事業者の信用リスク

信用できる事業者に運用してほしい

そもそも運用を行っていた事業者が倒産してしまった場合、出資金が戻らないというリスクがあります。

これに関しては、出資者からすると、事業者の財務状況や、出資先不動産を注視するしかありません。

しかし、事業者側からのアピールとしては、定期的な新商品情報の公開や運用状況の共有、サイトやブログの更新など、常に動きを見せ続けることで、不安要素を減らせます。

また、事業者のモラルも見られる部分。

過去の運用事例でどれだけ想定に近い実績が残せているか?契約書等に書かれた内容が守られているか?

小さなことでも、約束が守られているかどうか、というのは、意外と大きな判断材料になります。

想定利回りも運用期間も似たような商品が複数あった場合の最終判断の基準は、案外小さな違いだったりするものです。

細部まで細やかな気遣いと、スキのない徹底した管理、運用こそが、誠実な会社であることを印象付ける一番の近道です。

中途解約困難、運用期間延長の可能性もあるリスク

運用期間におけるリスク

不動産小口化商品は、それぞれに決められた運用期間中は、基本的に途中で解約(現金化)することはできません。

急遽お金が必要になっても出せない、流動性に欠ける点はリスクと言えます。

必要最小限+もしもの時の予備費は手元に残した上での出資をオススメしましょう。

また、キャピタルゲイン(売買益)が配当原資になる場合、売買が不成立だと、運用期間が延長されることになります。

そうなるとまた、現金化できるのが先延ばしになってしまいます。

不動産小口化商品の運用期間は半年~数年程度の比較的短期~中期的なものが多く、計画的な運用もしやすいのが特徴ですが、この期間も「想定」。

必ずしもその期間で配当・元本償還がすべて完了するとは限らないことを理解してもらいましょう。

ただし、この期間を守れるかどうかも、前述の事業者の信用リスクに関わるもの。

事業者としては、できるだけ想定運用期間通りに完了させることが求められます。

そのため、早めに売却先を探した結果、早期に売却が決定することも。すると、その時点でファンドの運用が終了し、早期償還される場合もあります。

運用期間について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

まとめ

不動産特定共同事業(不動産クラウドファンディング)は、不動産や投資に詳しくなくても、少額からでも出資できるなどのメリットは多く語られますが、リスクについて詳しく案内されていることは意外と少ない印象です。

しかし、そうした投資に不慣れな一般投資家が本当に知りたいのは、実はデメリットやリスクの方。

マイナスの面が見えないものに対しては、一歩を踏み出すことができないのです。

反対に、事業者側から丁寧にリスクを説明することで、その投資をすべきかどうかの決断を促すだけでなく、事業者への信頼感を抱かせることにも繋がります。

メリットばかりを一方的に押し付けるのではなく、顧客(投資家)目線に立ち、リスクやデメリットにもしっかり向き合っていることを示せれば、「事業者の信用リスク」はクリアできるのではないでしょうか?

競合他社も増えている不動産特定共同事業。もはや商品や利回りだけで差別化をするのは困難です。

そこで、少なくとも「事業者の信用リスク」において、競合他社より優位に立つことが、この事業での顧客獲得のポイントになるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本

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