不動産特定共同事業

抵当権がついている不動産を活用してファンド組成はできるのか? | 不動産特定共同事業の実務

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抵当権がついている状態で、不動産特定共同事業のファンドとして投資家を募集しても問題はないのでしょうか。

抵当権とは、不動産をローンで購入する際に金融機関が設定する権利のこと、すなわち借り入れの担保になっている不動産のことを指します。

不動産特定共同事業において、抵当権がついている不動産をファンド組成することに関する問題点と不動産特定共同事業における解釈について説明します。

不動産特定共同事業における投資家募集と資金使途の関係について

まず最初に、不動産特定共同事業における投資家募集と不動産の関係性について整理しましょう。

不動産特定共同事業は、投資家から集めた資金で投資用不動産を購入し、運用して、その利益を分配することで事業が成立します。

”投資家から集めた資金で投資用不動産を購入する”というのがポイントになります。

つまり、主な資金使途としては不動産の購入資金であって、借入金の返済を目的として投資家募集をしてはならないということになります。

したがって、不動産特定共同事業におけるファンド組成では、抵当権がついている不動産を活用してファンド組成することは認められていません。

抵当権がある場合は手金で返済をする

自社の不動産で抵当権がついている場合、ファンド組成する際には抵当権の抹消をしなければなりません。

つまり一時的にでも”手持ち資金”を使い、借入残金を返済する必要があります。

今回のようなケースでは、借入金を返済して抵当権を抹消した後ファンド組成して投資家を募集する流れになります。

そこで集まった資金の使途は自由ですので、様々な形の事業資金として活用して問題ありません。

ファンド組成したい不動産に抵当権が付いている場合は、一般的に次のような対応をとります。

  1. 自己資金で不動産ローンを返済する
  2. 当該不動産の抵当権を抹消
  3. ファンド組成、投資家募集、運用開始
  4. 投資資金の管理(手出し資金を回収)

預かった投資資金については、通常不動産の購入資金に活用します。

既に不動産を所有している場合については、その資金使途については明確な決まりはなく、事業の成長に活用します。

抵当権を抹消して自社不動産を有効活用しよう

不動産特定共同事業でファンド組成するためには、当該不動産が固有財産であることが条件です。

金融機関の融資によって不動産を購入している場合は、借入残高を返済して抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権を抹消することで、事業者にとっては一時的に資金効率が悪くなりますが、抵当権を抹消し固有財産である不動産を小口化して出資者を募ることで、それらの問題は解決します。

不動産特定共同事業を通じて自社で保有している不動産を有効活用することは、資金の流れをより活性化させるという意味でも、大きな強みになります。

企業のBSに”眠っている”不動産は市場をさらに活性化させるポテンシャルがある

企業のバランスシート上に”眠っている”ような不動産の価値の合計は、相当な数字になると言われています。

このような不動産を有効活用することによって市場は間違いなく活性化します。

不動産特定共同事業を通じて、これらの不動産を小口化して一般投資家から投資資金を集めて運用する。

市場の金回りがよくなると同時に、事業そのものが活性化することは言うまでもありません。

世の中、空前の投資ブームだと言われています。

J-REITのような大規模不動産を活用した上場不動産投資信託だけでなく、町の大家さんが投資するような小さな不動産でも、不特定多数の投資家に対して投資価値を生み出すことができるようになりました。

これは不動産業界全体にとって大きな転機でありチャンスだと私は考えています。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 櫻井

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