資産形成の基本-年金を知る-Part1
不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。
あなたの資産形成にとって、最も重要で欠かすことのできないファクターが「年金」になります。
会社員の人であれば、毎月のお給料から「厚生年金」として控除され、所得に対して、その金額が大きく変わります。
年金自体を本人が直接納めることはありませんので、意識は希薄になりがちです。ですが、この年金に対して、もっと真剣に向き合うべきだと私は考えています。
なぜなら、あなたの資産形成にとって、最も大切な基盤作りだからです。
株や投資信託、最近では、不動産クラウドファンディングのような新しい金融商品も出ていますが、いつの時代も資産形成の核になるのは「年金」です。
年金とはどのようなものか?

年金とはどのようなものでしょうか?
私は年金とは保険のようなものだと思っています。
年金に対する誤解

多くの方が年金に対して誤解しているようですので、少しずつ紐解いてみたいと思います。
誤解その1:年金は積み立てではない
最も誤解されているのが『年金は積み立てである』という誤解です。
私たちが払っている年金は『積立方式』ではありません。年金を払わないと「定年退職後に年金を受け取ることができない」「未払い月があると満額もらえない」と言われることから、どうしても『積立方式』だと誤解してしまいます。
誤解その2:将来年金がもらえなくなる
将来年金がもらえなくなるという声もよく耳にします。
これも大きな誤解です。
日本の年金制度は『賦課方式』になりますので、現役世代の方が年金受給世代の年金を負担しているからです。
また『年金破綻』という言葉もよく耳にしますが、根拠が意味不明です。現在、日本の年金はGPIFによって運用されています。そして、運用パフォーマンスもスプレッド(実質的運用利回り)でしっかり成果を出しています。ここに名目賃金上昇率が加味されるわけですから、全く問題がないというのがお分かりいただけると思います。
参考までにGPIFの運用状況をご紹介しておきます。

こちらは、過去20年のGPIFの運用状況をまとめた表になります。左から順に説明すると
- 名目運用利回り:過去20年に達成した運用利回り
- 名目陳儀上昇率:過去20年間の賃金上昇率
- 実質的な運用利回り:スプレッド(名目運用利回り-名目賃金上昇率)
になります。過去20年間の名目運用利回りは3.64%ですが、賃金の上昇率は-0.13%になりますので、スプレッド(実質的な運用利回り)は3.78%になります。
ここでの問題点は『スプレッド』についてです。どうしてこのようなややこしい仕組みを取り入れているのか。この点が日本の公的年金が盤石だと言われる理由です。
公的年金は、物価上昇による資産の目減りを防ぐような設計がされています。仮に運用利回りが5%を達成しても、物価上昇がそれ以上になれば、年金は実質的に目減りしたことになります。将来、物価がどれくらい上昇するのかについては予想できません。
そこで、いくら物価が上昇したとしても、物価上昇を一定の割合で上回るスプレッドを目標として設定しているのです。
GPIFのWebサイトの中で「年金積立金(GPIFの運用資産に加え、年金特別会計で管理する積立金を含みます。)の運用は、主務大臣である厚生労働大臣が定めた「中期目標」において、「長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること」が要請されています。
一般的に、資産運用では運用目標に賃金上昇率が使われることはありませんが、年金積立金の運用目標は賃金上昇率が考量された設計になっています。その理由は公的年金の保険料収入と年金給付が、賃金水準の変化に応じて変動するからです。そして、このような収支構造のなかで年金積立金の運用が年金財政の安定に貢献するためには、長期的にみて賃金上昇率を上回る運用収益を確保する必要があるからです。
誤解その3:年金未納者が多いから年金が破綻する
少し前の話ですが、『年金未納問題』が大きく取り上げられ国民年金対策本部が設置されて大々的に宣伝がされたのを覚えているかたも多いと思います。
ここで『未納率4割』という言葉が大きく取り上げられましたが、言葉が独り歩きしている典型例であるというのが私の感想です。「年金未納者が4割もいるんだ・・・それはヤバい」となってはいけません。この”4割”という数字が何を意味しているのかを考える必要があります。
この4割については、大きな勘違いが2つあります。
- 1つ目は、4割の人が一銭も年金を一銭も納めていないのではありません。「納付対象月数に対して納めていない月数の割合」を示しているということです。
- 2つ目は、未納となっているのは、全国民が対象ではないということです。
まず、会社勤めの給与所得者に関しては、会社が厚生年金を支払いますので、未納になることはありません。厚生年金の1階部分にあたる国民年金についても同様です。会社が支払ってくれます。『未納率4割』の対象者は1号保険者、つまり学生、フリーランス、無職の方のみになります。
上の図をご確認下さい。こちらは、全ての年金納付者に対しての未納者の数を示したものになります。日本国民の対象者は全部で6,000万人、その中で未納者の割合はせいぜい1.8%といったところになります。未納者の割合が全体の1.8%程度で年金が破綻するようなことは常識的に考えてあり得ないということは誰もが分かることですね。
数字の定義に惑わされることなく、しっかりと本質を見る目を養うことが大切になります。
年金があなたの資産形成の軸になる

将来、あなたが受け取る年金が資産形成の軸になることは言うまでもありません。
あなたが会社勤めやフリーランスで仕事をする中で、毎月年金を納めていくことこそが、最大の資産運用になります。
ですので「あなたが将来どれくらいの年金を受け取ることができるか」については、日頃から知っておくといいでしょう。将来受け取ることができる年金額を基準にすると、あなたに足りない部分が見えてきます。その部分を資産運用商品などで補うようにしましょう。
なお、将来受け取ることができる年金額については、毎年誕生月に送られてくる『年金定期便』で確認することができます。
世の中には多くの資産運用商品が販売されています。これらの資産を購入して積極的に資産運用をすることは大いに賛成です。
ただ「あなたが将来どのくらい年金を受け取ることができるか」をきちんと把握しないことには、そのゴールを立てることはできませんし、最適な資産運用商品が見えてこないのではないかと思います。
まずは、資産運用の骨組みにあたる年金について、しっかり理解しておきましょう。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 櫻井
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