不動産特定共同事業の種別 ~任意組合型・匿名組合型・賃貸借型とは?~
不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。
不動産特定共同事業(不動産クラウドファンディング)において、1号商品や2号商品といった表現を聞いたことがあるでしょうか?
不動産特定共同事業法における不動産特定共同事業契約には大きく分けて3つの種類があり、「任意組合型(1号商品)」「匿名組合型(2号商品)」「賃貸借型(3号商品)」と呼ばれます。一般的には匿名組合型の商品(ファンド)が最も多いとされていますが、それぞれの契約による違いは何なのでしょうか?
今回は3種類の契約ごとの特徴や違いについて解説します。
任意組合契約とは?

任意組合契約とは、不動産の共有持分権を複数の投資家が取得して、それを現物出資することによって民法上の任意組合(民法667条)を組成し、当該不動産を不動産賃貸事業として共同運営する形態の契約のこと。不動産特定共同事業法2条3項1号に定義される契約形態であるため、1号商品とも呼ばれます。
分かりやすく言うと、複数の投資家が出資して不動産を共同で所有します。その所有した不動産そのもの(現物)を不動産特定共同事業者(以下、事業者という)に出資することで、投資家と事業者が共同で不動産を運営するイメージです。この場合、あくまでも主体は出資した投資家側になり、出資金額にかかわらず「所有者」であるため、投資家はもれなく責任者の一人となります。また、不動産を所有するので、収益は不動産所得として課税対象になります。その代わり、不動産投資という扱いになるため、現物不動産と同じ相続税評価方法が適用。相続や贈与の際に節税効果が期待できます。
任意組合契約の詳細はこちらの記事でご覧いただけます。
匿名組合契約とは?

匿名組合契約とは、不動産を取得し賃貸等により運用を行う不動産特定共同事業者(匿名組合の営業者)と投資家が商法上の匿名組合契約(商法535条)を締結した上で投資家が金銭出資を行い、当該不動産の運用から得られる収益の分配を受領する形態の契約のこと。不動産特定共同事業法2条3項2号に定義される契約形態であるため、2号商品とも呼ばれます。
任意組合契約と異なるのは、こちらの場合、投資家が出資するのは不動産そのものに対してではなく、その不動産を所有し、運営する事業者に出資するというかたちになります。投資家たちは不動産を所有することなく、運営にも関わらない為、不動産投資という扱いにはならず、この事業から生じる収益は税務上、雑所得となります。不動産特有の特徴を持つ投資商品でありながら、不動産投資にはならず、節税対策にはならないことは理解しておきましょう。
匿名組合契約の詳細はこちらの記事でご覧いただけます。
賃貸借型とは?

賃貸借型とは、投資家が事業者と賃貸借契約等を結んで運営業務を委託する形態の契約のこと。不動産特定共同事業法2条3項3号に定義される契約形態であるため、3号商品とも呼ばれます。
複数の投資家が出資して不動産を共同で所有し、その不動産の運営を事業者に行うという点は任意組合型に似ていますが、こちらの場合、事業者が主体となって行う不動産事業のことを言います。投資家は事業者と共有持分権の賃貸借契約又は賃貸委任契約を締結し、事業者は、不動産の賃貸借契約または賃貸借を委任された物件の運営管理を行い、賃料収入などの利益を投資家に分配します。
ただし、この場合、投資家は共有者にすぎないので、不動産を売却する場合は、投資者間の合意が必要だったり、投資家から共有持分権につき分割請求があったりする場合があります。
現状、賃貸借型の不動産特定共同事業の商品は提供されている数が少ないため、一般の投資家が投資対象とするのは、匿名組合型または任意組合型がほとんどです。
匿名組合型が一番多い理由は?

不動産小口化商品の中で最も多いのは匿名組合型の商品。その理由は、匿名組合契約の場合は「不動産を所有しない」こと、比較的少額から投資できるファンドが多いこと、運用期間が短めのものが多いことなどから、不動産投資をしたことがない人にも気軽に始めやすい条件が揃っているからです。
先に述べたように、匿名組合型の場合は、不動産投資ならではのメリットである節税の恩恵は受けられません。しかし、不動産特有の、家賃収入からの収益という安定感や、価値の暴落リスクの低さ等のメリットを持ちながら、他の一般的な投資商品のように手軽に資産運用ができる点で、堅実にコツコツお金を増やしたい人にはピッタリの商品と言えるのです。任意組合契約と匿名組合契約との違いについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。
事業者から見ても、他の一般的な不動産投資商品と差別化し、ターゲットを拡げる意味でも、匿名組合型の商品が最も適しているのです。
まとめ
不動産特定共同事業には主に3つの種別があり、契約方法により、所有権の所在や出資先・所得の種類、運営方法に違いがあることが分かりました。総合的に見ると、匿名組合型が多くの個人投資家の需要にマッチしやすいため、一般的には、多くの商品で匿名組合契約が採用されております。
しかし事業者としては、それ一択ということではなく、それぞれの特徴を理解した上で、お客様に分かりやすく説明、要望や目的に合わせた商品が提案できると良いですよね。
資産運用や節税対策などの目的別に商品を使い分け、幅広い投資家需要に応えられる可能性がある不動産特定共同事業。是非御社の商品ラインナップにも加えてみてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
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