不動産特定共同事業

不動産特定共同事業と税金の関係性を徹底解説!

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不動産クラウドファンディング比較サイト-クラウリングです。

不動産投資の1種でありながら、金融商品の性質も併せ持つ不動産特定共同事業不動産クラウドファンディング)。

一般的な不動産投資の場合、所有する現物不動産を相続することで、相続税対策になります。

また、家賃収入は課税対象ですが、運用において赤字が出た場合は損益通算ができます。

しかし、不動産特定共同事業では、相続税対策になるものとならないものがあります。

そして、すべての商品において損益通算はできません。

今回は不動産特定共同事業と税金の関係性について解説します。

出資者自身がよく理解した上で投資するべきですが、事業者様もぜひ、ご覧ください。

不動産特定共同事業の契約方法の違いと税金

税金について解説する前に、まずは不動産特定共同事業の契約方法について解説します。

不動産特定共同事業契約には、

任意組合型

匿名組合型

賃貸型

の3種類の契約方法が存在します。

この中で税金に大きく影響するのは、任意組合型匿名組合型です。

任意組合型

出資者が不動産特定共同事業者と任意組合契約を締結し、組合をつくります。

この組合で不動産を取得して運用され、収益は組合員に分配されます。

対象の不動産は組合員全員の共有となりますが、その一人ひとりに所有権があります。

つまり、運用収益は所得税法上の不動産所得となります。

匿名組合契約

出資者が不動産特定共同事業者と匿名組合契約を締結し、組合をつくります。

その運用益が組合員に分配される点は任意組合契約と同じなのですが、不動産そのものは、不動産特定共同事業者が単独で所有することになります。

つまり、出資者は不動産の所有権を持たず、分配された利益は所得として扱われます。

ちなみに運用収益にかかる税金は、直接は事業者が収めることになります。

出資者は、分配金の支払い時に20.42%の源泉徴収税が差引かれます。

不動産特定共同事業と税金 ~所得税編~

不動産小口化商品は前述のとおり、契約により、課税方式に違いがあります。

それに伴い、確定申告の項目ももちろん変わります。

まずは所得税について。

事業等において赤字が出た場合、同じ年の他の所得と合算(プラスの所得とマイナスの所得を相殺)できる損益通算という制度があります。

基本的には不動産所得は損益通算が可能です。

例えば、サラリーマンが仕事でお給料をもらいながら、不動産投資もしている場合、その不動産の運用益からローン返済分を引いてマイナスになる(赤字になる)と、その分をお給料の所得と合算し、課税対象となる所得を減らす=節税になります。

ところが、不動産特定共同事業では、この部分では節税ができません。

それは、不動産小口化商品から生じた損失は、一切の損益通算ができないからです。

これは、実際に不動産の所有権があり、より不動産投資に近い任意組合型契約の場合においても同じです。

不動産特定共同事業は、所得税の節税はできないと理解しておきましょう。

不動産特定共同事業と税金 ~相続税編~

それでは相続税についてはどうでしょう?

実は相続税に関しては、契約方法によって違いがあります。

任意組合型の場合

出資者が対象不動産の所有権を持つ為、不動産としての相続が可能。

相続税の財産評価は、不動産としての財産評価規定が適用されます。

土地や家屋は、路線価評価、固定資産税評価額が認められ、一定の要件を満たせば、小規模宅地等の評価減が適用されることも。

これらにより、相続税の財産評価額が時価より低くなり、節税効果が期待できるのです。

匿名組合型の場合

対して匿名組合型は、不動産の所有権は出資者にはありません。

つまり、不動産としての相続はできないのです。

出資者が死亡した場合の出資の評価は通常、取引相場のない株式の取扱いに準じ、純資産価額方式で評価されます。

純資産価額方式とは、課税時期における各資産および負債を相続税評価額により評価し、評価対象の価額を求める方式。

そして、不動産特定共同事業の場合、対象不動産は時価評価ということになる為、相続税の不動産としての評価規定の適用は難しいのです。

尚、任意組合型の場合も、必ず不動産としての財産評価規定が適用され、節税になるとは限らないことにも注意が必要です。

実は過去に、相続税の財産評価規定である通達評価が否認されたケースがあります。

課税庁の裁量によっては財産評価されてしまう可能性もある、ということは覚えておいて下さい。

不動産特定共同事業における税金の関わりについての事業者の説明責任

多くの不動産クラウドファンディングサイトで募集されているファンドは、匿名組合型のファンドが中心です。

それは、匿名組合の方が比較的少額(最低口数が少ない)で投資できること、運用期間が短めのものが多いことなどから、特に投資初心者の資産運用に最適と言われていることもあるでしょう。

しかし、投資ビギナーでも気軽に投資できることは、投資知識が十分でない人も出資する可能性があるということ。

投資は自己責任ではありますが、運営会社側からの説明が不十分なばかりに損をした、というクレームも無いとは言い切れません。

想定利回り運用期間はチェックしていても、税金のことは考えていなかったり。

特に、分配金支払い時に差し引かれる20.42%の源泉徴収は、想定利回りには反映されていないので、最終的に手元に残ったのは思ったより少ない…という印象になりがちです。

相続なんてもっとイメージできない人が多いでしょう。

利益のことばかり謳うのではなく、それに伴うリスクや、そこにかかる税金のこと、相続のことなど、投資家にとって役立つ情報をきちんと発信することで、クレーム防止とともに、お客様の安心にも繋がるでしょう。

もちろん、重要事項説明書などに書かれていることも多いのですが、全部くまなく読んでいる人がどれだけ居るでしょうか?

事業者側からの積極的な発信こそが、信頼と、出資への後押しになります。

まとめ

不動産特定共同事業の任意組合型と匿名組合型では、税金の扱いが異なります。

任意組合型は、不動産所得扱いとなり、不動産としての相続が可能。

匿名組合型は、雑所得となり、金融商品に近いかたちでの相続になります。

これらのことから、任意組合型はどちらかと言うと節税目的。

匿名組合型は資産運用目的という意味合いが強いでしょう。

投資家自身が理解した上で商品を選ぶことが大切ですが、事業者側からも丁寧に案内することで、より出資への背中を押すことが出来るのではないでしょうか?

不動産特定共同事業と税金の関係性、ぜひ抑えておいて下さい。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本

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