不動産特定共同事業とREIT(リート)の違い
不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。
不動産特定共同事業にご興味のある事業者様なら、REIT(リート)やJ-REITもご存知だと思います。不特定多数の投資家から出資を募って不動産を運用。その利益から配当(リターン)を分配するという点においてはどちらも共通しておりますが、今、より注目されており、今後も投資家の増加が見込めるのは不動産特定共同事業だと考えます。
今回はその理由についてお話したいと思います。
REITの特徴

今回は分かりやすくJ-REIT(日本のREIT、日本の不動産投資信託)で解説します。(そもそもJ-REITとは?をおさらいしたいかたはこちらもご覧ください)
不動産特定共同事業との大きな違いとして、J-REIT投資法人は証券取引所に上場しており、不動産特定共同事業の方は上場していないという点があります。出資者の視点で見ると、J-REITへの投資は証券取引所を通じて行う為、不動産に対して投資をするのではなく、不動産投資法人(不動産投資法人一覧はこちら)に対して投資する、ということになります。
証券口座さえ開設すれば、誰でもJ-REITに投資できるのも特徴。株式の投資信託とほぼ同じです。そして、実際には不動産への投資でありながら、その管理義務が出資者に発生しない点は不動産特定共同事業と同じ。出資者は銘柄(不動産投資法人)を選び、出資するだけで良いのです。
ただし、J-REITは値動きが激しいのも不動産特定共同事業にはない特徴。証券取引所で自由に取引ができることで、まるで株のように活発に取引が行われています。それにより、常に価格が変動しています。従って、マーケットの動きに左右される部分が大きく、どちらかというとハイリスク・ハイリターンな投資に分類されるでしょう。保有し続けて利益を得る(インカムゲイン)というより、市況を予測して売却益を得るキャピタルゲイン狙いで買う人が多い傾向です。
REITのメリット

REITの主なメリットを、ここでは3つ紹介します。
1,少額での分散投資が可能
不動産特定共同事業では、最低でも10万円くらいからの出資になる商品が多く(それでも不動産投資としてはかなりの少額ですが)REITでは更に少ない、数万円程度からでもスタートできるのです。また、前述のとおり、REITは不動産への投資ではなく、不動産投資法人への投資となるので、一つのJ-REIT銘柄に出資することは、同時に複数の不動産に出資することと同じ意味になるのです。つまり、分散投資にもなるということです。この手軽さは一般投資家にとっては魅力的ですよね。
2,プロが運用
実際に不動産を選んだり管理したり、運用をするのは不動産投資法人です。不動産投資法人は不動産目利きのプロ集団。投資家は数ある不動産投資法人の中から信頼できる会社を選び、運用を託すのです。不動産特定共同事業も管理や運用は事業者がやってくれますが、どの不動産に出資するのかを決めるのは投資家。ここにも違いがありますね。
3,流動性の高さ
先にも書いた通り、J-REITそのものが証券市場に上場している銘柄の為、いつでも自由に売買することができる=資金の流動性が高いといえます。投資では運用期間中は引き出せないものも多い中、必要な時にいつでも売却してお金に変えられるというのは、大きな安心材料の一つです。
REITのデメリット

それでは反対に、REITのデメリットも2つ紹介します。
1,価値の変動が激しい
日々相場が変化し、価格が大きく上下することがJ-REIT最大のデメリット。経済状況や世界情勢に大きく影響され、コロナ禍の2020年には、特にホテルや旅館を扱ったREITは軒並み収益性が見込めなくなり、価格が下落。その後も、テナントなどを扱う総合型のREITも値段を下げました。
また、リーマンショックの際も経済的な打撃を受け、複数のJ-REITが倒産、上場廃止になった事例もありました。
これほど大きな変動というのは、不動産特定共同事業をはじめ、現物不動産投資にはあまり見られない値動きです。
2,不動産投資ならではのリスクも併せ持つ
不動産への投資ではなく、不動産投資法人に投資する投資信託の1種と述べましたが、結局最終的に価値の上下に影響するのは不動産そのもの。万が一地震などの自然災害が発生した場合、J-REITもやはりその影響は受けることになり、価格に直結してしまいます。ただでさえ変動の激しいところに、予測不可能な自然災害でのリスクもあるというのは、なかなかのデメリットと言えるでしょう。
不動産特定共同事業の方がオススメなワケ

上記のように、REITならではのメリット・デメリットが有ることがわかりました。では、それを踏まえて不動産特定共同事業をオススメする理由について解説します。
1,出資額と分散投資について
最低出資額の少なさや、分散投資の手軽さは一見、REITの方が優れているように思います。しかし、いくら一般投資家であっても、1つの銘柄に数万円だけの投資で運用するでしょうか?将来への備えとして投資を考えるなら、最低でも10万円くらいは資金を用意すると思います。その10万円をREITに投資するか、不動産特定共同事業に投資するか…投資に慣れていない人が相場変動の激しいREITに手を出すのは危険。よりリスクの少ない不動産特定共同事業を選ぶべきです。また、不動産特定共同事業は運用期間が半年~数年。1つの投資で出た利益をプラスして次は2商品同時、もしくは時期をずらして投資するなどし、計画的な分散投資も可能です。
2,商品選びについて
REITと違い、出資者自らが事業者の商品から不動産を見定め、投資する物件を選ぶことになります。しかしそれも、事業者が自信を持って商品として打ち出した物件ばかりのはずですから、プロが選んだ物件の中から選んでいる、という感覚で問題ないでしょう。あとは利回りや運用機関などの条件から、自分の計画に合わせて選択すれば十分です。
3,流動性について
不動産特定共同事業は運用期間中、元本の引き出しなどは一切できません。そういう意味では流動性に欠けると言えるでしょう。しかし先にも書いた通り、運用期間は半年~数年ほど。出資金以外に、手元に最低限必要な資金と、もしものための予備費少々さえ置いておけば、急に引き出しが必要になることは滅多にないと思います。それよりも、比較的短いスパンでの運用が可能という計画性の高さがメリットと捉えるべきではないでしょうか。
投資家目線で見た不動産クラウドファンディング・REIT・現物不動産投資を比較したまとめ記事もございますのでぜひご覧ください。
まとめ
REITはより少額から投資でき、運用もプロが行うという点で、一見初心者にも向いているように思えます。しかしその変動性の高さはハイリスク・ハイリターン。実は不動産や投資の玄人向け商品なのかもしれません。
不動産特定共同事業はミドルリスク・ミドルリターンの投資と言われています。特に日本人はリスクよりも安定を求める国民性。今や将来への備えとして個人投資も推奨されて久しいですが、まだまだ投資初心者も、未経験者も多いことでしょう。そんな投資に自信のない人々の受け皿となるのが不動産特定共同事業です。
今後ますます、事業者も出資者も増えるのではないでしょうか。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
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