不動産特定共同事業で官民連携?
不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。
不動産特定共同事業は、単に不動産投資の敷居を下げ、不動産業者には新規顧客創出、投資家には選択肢の拡大というメリットをもたらすだけでしょうか?そんなことはありません。
以前、「不動産特定共同事業に参入するメリットとは?」の記事でも、不動産特定共同事業は社会貢献にも繋がる。というお話をしました。そう、社会、つまり地域や行政にとってもメリットがあるからこそ、不動産特定共同事業法(不特法)は改正を重ね、その活性化を国が後押ししてきたのです。
では、具体的にどのように社会貢献に繋がるのか?今回は特に官民連携での不動産特定共同事業のメリットについて解説します。
不動産特定共同事業活用のメリット~行政編~

不動産特定共同事業は行政において、官民連携開発事業における資金調達の一手法と位置づけられます。
例えば、自治体が保有する歴史的に価値のある建築物を保存・活用していきたいが、その費用を自治体だけではまかないきれない。あるいは、自治体が持つ土地を活用し、地域に必要な施設の開発をしたいが行政の負担はできるだけ抑えたい。
このような場合に不動産特定共同事業を活用すれば、民間資金を募り行政の支出を抑えることが可能になります。民間から資金を集めるという点では、ふるさと納税その他の募金でも良さそうに思えますが、それらは用途が不明確であったり、使途が指定されていたりして、なかなかまとまった資金を一つの事業に充てることは難しいでしょう。しかし、不動産特定共同事業は現物不動産を直接取り扱うスキームなので、地域の公的不動産に対しても円滑な資金供給が可能な仕組みになっています。
うまくその不動産の活用事業に共感を得られれば、スピーディーな資金集めも可能になります。また、地域住民への事業の周知は、市民の地域への関わりや地元愛を育むことにも繋がります。
不動産特定共同事業活用のメリット~事業者編~

事業者にとっては、単純に新規顧客を増やせる可能性が広がるだけでも十分なメリットですが、そこに行政と連携したプロジェクトが絡むと、更に知名度や信頼度アップに繋がります。
また、民間事業者だけではとても実現できないようなプロジェクトであっても、官民が連携することで運営の委託や補助金の交付、地代の減額等、柔軟な対応が可能になり、より大きな事業を行うことも可能になります。地域活性のためのプロジェクトから不動産特定共同事業を知り、地域住民が新たな投資家となることも考えられます。
事業者としては、行政と連携することで、これまで民間だけではできなかった公的な事業を行い、地域密着や地域貢献といった新たな強みが得られる点が、官民連携の大きなメリットになるのではないでしょうか。
不動産特定共同事業活用のメリット~投資家編~

多くの不動産小口化商品は、不動産そのもの(立地など)の価値や開発条件を見て出資先を検討します。しかし、官民連携で不動産特定共同事業を活用した案件は、使われていない建物を再生して保育所にする、更地に図書館を建てるなど、その地域に必要とされている施設等を開発・運営するなどの一大プロジェクトとなるものもあり、まさにクラウドファンディングと同じように、応援で出資を募る商品なのです。また、出資に対するリターンがお金以外(施設の利用権など)の場合もあり、投資目的だけでなく地域創生にも貢献できることから、より地元に還元できる取り組みとして注目されています。
ただ投資して利益を得るだけでなく、自分達の住む地域の住みやすさや魅力向上にも繋がるのなら、お金以上の価値があるかもしれませんし、投資家としてもやりがいが増しますよね。
地域創生における不動産特定共同事業活用事例

ここでは、国土交通省が発表している「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック(令和四年10月版)」に掲載の内容を要約して紹介します。
京都市内にあった、江戸時代から続く二棟続きのお茶屋建築の建物を、その佇まいを活かしたコリビング施設へリノベーションし、運営するプロジェクト。対象物件の保有者の自己資金のみでは難しく、物件の古さなどから金融機関からの融資も多くは見込めない状況の中、不動産特定共同事業を活用することで個人からの出資を得ることができ、物件の再生・活用はもちろん、まちづくりにも寄与した成功事例です。
このプロジェクトに携わった不動産特定共同事業者はまず、京町家の再生等を手掛ける地元の不動産業者とともに再生・活用方法を思案。エリアの魅力や京都での暮らし・滞在をテーマとしたイベントなどを開催し、広くプロジェクトを周知。また、出資口数に応じて施設の利用券の付与やオープニングパーティへの招待など、金銭以外のリターンを付加することで、投資家の対象施設への継続的な関与、利用を促すことにも成功。よりその地域や住民の魅力を伝え、共感・応援を得ること繋げています。さらに地元住民も地域の魅力を再発見し、住民同士のつながりや地元愛が深まるなど、まさに地域活性化につながった事業と言えるでしょう。
まとめ
不動産特定共同事業が地域活性にも繋がる理由、いかがでしたでしょうか?
行政も事業者も地域住民も喜ぶ、まさに三方良しの新しい官民連携のカタチ。その中心となるのは行政と地域住民の橋渡し役になる事業者です。行政と組んで進める地域創生プロジェクトの魅力をいかに住民に伝え、出資というかたちで応援してもらえるか、それは事業者の腕次第と言えるでしょう。そのかわり、プロジェクトの成功は必ず事業者に確かな信頼と実績をもたらします。
ぜひ不動産特定共同事業で、不動産投資の間口を広げ、新規顧客の開拓を狙いつつ、行政と連携し、地域活性化にも一役買ってみませんか?
【地域活性化を目指しているサービス事業者】
「不動産特定共同事業|それぞれの目的」という記事では、行政・事業者・投資家それぞれについて、不動産特定共同事業を利用するメリットを紹介していますので、そちらも併せてぜひご覧ください。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
この記事をシェアする