不動産特定共同事業者の種類 ~第4号事業者編~
不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。
不動産特定共同事業者の第4号事業者は、特例事業において、SPC(特別目的会社または特例事業者)より外部委託され、出資者の募集や、契約の代理・媒介を行う事業者を指します。
対象不動産の運用業務は行いません。
同じく出資者募集や仲介業務を行う第2号事業者との違いは?
第4号事業者になる要件は?
4回にわたって紹介してきました不動産特定共同事業者の4つの種類。
今回はラスト、第4号事業者編をお届けします。
第4号事業者の定義・スキーム

第4号事業者とは、SPCが当事者となる不動産特定共同事業(特例事業)の契約締結の代理・媒介をする事業者
と定義づけられています。
ファンド(不動産小口化商品)の運用や出資者への還元など、他の業務を行うことはできません。
特例事業のスキームでは、資金需要者であるSPCは投資家への勧誘(募集業務)をせず、他の不動産特定共同事業者(第4号事業者)に、募集業務・勧誘を委託します。
そして、対象不動産の運用業務は第3号事業者に委託します。
「SPCが当事者となる不動産特定共同事業」でなければ、その業務を受託できない点で、第2号事業者とは異なります。
第4号事業者になる要件

不動産特定共同事業の許可要件(参考:不動産特定共同事業の許可の要件(国土交通省))を満たした上で、第4号事業者に必要な資本金は1000万円です。
必要な資本金に関しては、第2号事業者と同額です。
そしてやはり、同じ特定事業で外部委託を受ける身であっても、実際に運用をする第3号事業者よりはかなり低めの設定ですね。
これは第2号事業者と同じく、あくまでも投資家の募集と、契約の代理もしくは媒介といった仲介業にあたるので、そこまでの財産的基礎・財務の健全性は求められないということなのでしょう。
また、第3号事業者同様、SPCから業務委託されたファンドの仲介のみ可能なため、特例事業限定の取扱いとなります。
特例事業における不動産特定共同事業契約に基づく権利は、金融商品取引法上のみなし有価証券とされるため、金融商品取引法の規制も適用されるのです。
第4号事業者がSPCを用いた特例事業を行う場合には、不動産特定共同事業法(不特法)免許の他、第二種金融商品取引業の登録も必須となります。
(参考:金融商品取引法について(金融庁))
第4号事業者特有の義務

不動産特定共同事業には、分別管理が義務付けられています。
分別管理とは、もともと金融商品取引業者等が、投資家(顧客)から預かった財産と自己の財産を分けて管理(保管)することを定めたルールです。
投資家保護の観点から、不動産特定共同事業法(FTK法)でもこのルールを義務付けているのです。
ただ、不動産特定共同事業の場合、その事業者の種類(役割)によって、求められる管理方法が異なります。
1つは、単純に事業者の資産管理口座と異なる口座を作り、別々に管理する方法。
十分な資金力があり、自社で完結することができる1号事業者や、もともと不動産や出資金を保有することがない第3号事業者に関しては、こちらの管理方法でOKです。
もう1つの方法は、信託銀行等に信託する方法で、「顧客分別金信託」と呼ばれます。
第2号事業者と第4号事業者はこちらの顧客分別金信託による分別管理が義務付けられています。
第2・第4号事業者は契約締結の代理・媒介をするので、顧客から一時的に資金を預かることが想定されます。
それも不動産特定共同事業の場合、多額になりますよね。
前者の別口座で管理する方法の場合、結局は自社で管理しているため、万が一その事業者が破綻した場合に出資者のお金が保全されない危険があります。
それに対して後者の顧客分別金信託の場合は、万が一事業者が破綻した場合でも、信託銀行等(受託者)から受益者代理人を通じ、個々の投資家に資産を安全に返還することになります。
資本金要件のハードルが低い分、倒産乖離ができる顧客分別金信託が義務化されているということでしょう。
一見ややこしい仕組みだが

特例事業は、SPCが主体となり、募集・契約媒介は第4号事業者が行い、運用は第3号事業者が行うという、一見複雑な仕組みに見えます。
しかし、契約締結時には、第4号事業者に義務付けられた顧客分別金信託により出資金の保全性が保たれ、運用中はSPCが出資金を保有するが実際の運用は第3号事業者が行うという、会社ごと分別管理されている状態なので、流用防止と倒産乖離の面で安全性がかなり高められます。
それは、SPC、第3号事業者、第4号事業者と多くの事業者に役割が分担され、連携することで成り立ち、いずれも事業運営に欠かせない存在なのです。
投資家目線で見ると、非常に安心感のある仕組みではないでしょうか。
まとめ
第4号事業者は、特例事業において、SPCと投資家の間に入り、出資者募集や契約締結の代理・媒介を行う仲介役。
直接、顧客財産で資産運用をする立場ではないので、第1号事業者・第3号事業者ほどの財産的基礎・財務の健全性は求められません。
しかしながら、第3号事業者と異なり、一時的でも出資金を預かる場合があります。
そこで顧客財産保護の観点から、信託会社への金銭信託などの方法による分別管理が義務付けられており、この点が第4号事業を行う為の要件となります。
流用防止や倒産乖離ができることから注目されている特例事業には欠かせないのが第4号事業者です。
特に、不動産クラウドファンディング(電子取引業務)が主流となってきている今、インターネット上で資金を集める第4号事業者の重要性は高まっているでしょう。
これまで第1号事業者から第4号事業者までの4種類、それぞれについて詳しく見ていきましたが、いかがでしたでしょうか?
これから不動産特定共同事業への参入をお考えの事業者様も、4種類のうち、どの許可を取り、事業を行うか?
それぞれ許可される業務内容や要件をじっくり見て、検討してみて下さい。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
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