不動産特定共同事業者の種類 ~第3号事業者編~
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不動産特定共同事業者の4つの種類のうち、第3号事業者・第4号事業者は、特例事業において、SPC(特別目的会社または特例事業者)より外部委託される事業者を指します。
そして第3号事業者は、ファンドの運用に関する業務を請け負います。
出資者の募集・勧誘活動は行いません。
それでは、同じく不動産の運用を行う第1号事業者とは何が違うのか?
特例事業やSPCとは?
今回は、第3号事業者について解説いたします。
特例事業とは?

特例事業とは、不動産特定共同事業において、SPCが主体となる事業スキームを指します。
SPCとはSpecial Purpose Companyの略で、特別目的会社と訳されます。
特例事業者と呼ばれることもあります。
SPCは、ファンドの組成(不動産小口化商品を企画)をした企業とは別に、そのファンド(事業)の為に設立される法人のこと。
宅地建物取引業の営業許可を受ける(宅地建物取引士を置く)必要はありませんが、みなし宅地建物取引業者として、営業保証金の供託、受領手付金額の制限などの業務規制が課せられています。
この営業保証金は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円とされ、また、宅地建物取引業保証協会の社員は営業保証金を供託する必要はなく、代わりに同協会に対して弁済業務保証金分担金(主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円)を納付することになります。
さらに、SPCは事業実施のための許可は不要で、届け出のみでOK。
その分、実施に必要な各業務(出資金募集や不動産運用)は、それぞれ許可を受けた事業者に委託しなければいけません。
いずれにせよ、自社でファンドを組成、出資を募集し、不動産を取得・運営できる1号事業者になる要件と比べると、かなりハードルが低いのは間違いないでしょう。
第3号事業者・第4号事業者とさえ連携できれば、不動産特定共同事業への参入はかなり容易になります。
第3号事業者の定義・スキーム

第3号事業者はSPCの委託を受け、不動産特定共同事業契約に基づき運営される不動産取引に係る業務を行う事業者
と定義づけられています。
ファンドの運用を行う点では第1号事業者と共通していますが、第3号事業者は出資者募集や契約の代理・媒介などの業務は行えません。
これらの業務は第4号事業者へ委託されます。
また、SPCから業務委託されたファンドの運用のみ可能で、自社が保有する不動産を直接運用(出資金を保有)することはできません。
そのため、運用している第3号事業者がその出資金を別事業に流用したり、倒産して返還不能になったりという恐れがありません。
企業の資産と各ファンド用資金とを別口座で管理する分別管理と似ていますが、会社自体が異なるところで管理される為、よりリスクが小さいと言えるでしょう。
顧客財産の流用防止と倒産乖離ができ、投資家保護の観点で非常に優れた事業なのです。
つまり、第3号事業者は特例事業(SPC)ありき、第4号事業者ありきの事業者であるということになります。
第3号事業者になる要件

不動産特定共同事業の許可要件(参考:不動産特定共同事業の許可の要件(国土交通省))を満たした上で、第3号事業者に必要な資本金は5000万円です。
実際に不動産運用を行う点で共通している第1号事業者で必要な資本金からすると半額ですね。
これは、前述の「対象不動産や出資金はあくまでもSPCの保有になる」点から、倒産乖離ができ、出資者リスクが軽減されるためでしょう。
また、特例事業では、一定の規模を超える宅地の造成又は建物の建築に関する工事などを行う場合、出資可能なのはプロ投資家(特例投資家)に限定されます。
動く資金・不動産の規模に限度があったり、条件付きだったりすることも、第1号事業者よりハードルが低く設定されている要因です。
もう1つ注意したいのが、特例事業では、第1号事業者や第2号事業者が行う通常の不動産特定共同事業契約に基づく権利と異なり、金融商品取引法上のみなし有価証券とされること。
つまり、金融商品取引法の規制も適用されるということです。
第3号事業者がSPCを用いた特例事業を行う場合には、不動産特定共同事業法(不特法)免許の他、第二種金融商品取引業の登録も必須となります。
(参考:金融商品取引法について(金融庁))
第3号事業者になると?

先の「特例事業とは?」でも触れた通り、SPCの設立条件は、第1号事業者と比べると決して高いハードルではありません。
第1号事業者の要件を満たさない企業が出資を募集し、不動産の運用をしたいと考えた場合、まずは第3号事業者の許可を取ります。
そして、そのプロジェクト専用の別会社(SPC)を作り、そちらで不動産を取得すれば、その会社から委託を受けたということで、第3号事業者として運用を行うことが可能に。
そうすれば、多少お金の流れや手続き、許可取りが複雑化し、手間も時間もかかりますが、第1号事業者と同じようにファンドを組成し、運用することも可能になります。
おまけに出資者保護の強みもあり、募集時に有利にアピールできるでしょう。
まとめ
第3号事業者は、SPCからの業務委託によりファンドの運用を行うスキームです。
対象不動産や出資金の保有権は無く、不動産特定共同事業法免許の他に、第二種金融商品取引業の登録も必要という点では第1号事業者とは大きく異なります。
しかし、ある不動産を取得し運用したいとなった時、そのファンド専用の会社(SPC)を作り、その会社から委託を受けたということで、第3号事業者として運用を行えば、実質、自社の商品を自社(別会社ではあるが)で運用できるのです。
また、流用防止と倒産乖離ができることから投資家の安心感も強く、投資初心者にも比較的選びやすい商品になるでしょう。
第1号事業者と比べると、特に金銭面では参入ハードルの低い第3号事業者ですが、少し遠回りになるだけで、やりたい事業・運用を行うには十分な許可内容ではないでしょうか。
また、こちらで不動産の運用実績を作っていくと、不動産特定共同事業以外の不動産投資でも信頼につながるかもしれませんね。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
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