鑑定評価は不動産特定共同事業法で義務付けられていない?
不動産クラウドファンディングの比較サイト|クラウリングです。
不動産特定共同事業(不動産クラウドファンディング)の物件価格はどのように算定されているかご存知でしょうか?
多くの不動産売買では、不動産鑑定士による鑑定評価をもとに価格が決められます。
しかし、実は不動産特定共同事業法では、鑑定評価は義務ではございません。
「鑑定評価をしたかどうか」についての表示義務はあるものの、実施義務はないのです。
とはいえ、鑑定評価書は、現物不動産の価格算定のエビデンスとして、投資家からの信頼に繋がります。
よって、ある方が良いのは間違いありません。
今回は不動産特定共同事業における鑑定評価の必要性と、不動産鑑定士について解説いたします。
不動産鑑定とは

不動産鑑定は、不動産鑑定士のみが行える公正な土地や家屋の見積り(評価)です。
国家資格である不動産鑑定士は、不動産鑑定試験に合格しなければなれません。
そんな不動産鑑定士の評価は最も適正なものであるとみなされます。
故に、主に公共性の高い場面(売買時や相続時)の根拠として用いられます。
一方、似たような言葉で「不動産査定」というものもあります。
こちらは不動産会社が行います。
こちらでも市場価値を算出することができますが、算定方法(基準)は任意で、会社によって結果が異なるため、不動産鑑定のような公的な信用力はありません。
もちろん、不動産会社の方もプロですから、その価値を見極めた上での物件(ファンド)を選び、商品としていると思います。
しかし、公正な立場の第三者(不動産鑑定士)による評価は、投資家にとっては何にも勝る安心材料となるのです。
鑑定評価は不動産特定共同事業で必要?

不動産特定共同事業における対象不動産の価格及び算定方法については、国土交通省の「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」にて、以下のように記載されています。
対象不動産の価格及び当該価格の算定方法(当該算定について算式がある場合においては当該算式を含む。)を表示する。なお、不動産鑑定士による鑑定評価の有無並びに当該鑑定評価を受けた場合には、当該鑑定評価の結果及び方法の概要(当該鑑定評価の年月日を含む。)並びに鑑定評価を行った者の氏名を表示する。
「鑑定評価の有無並びに当該鑑定評価を受けた場合には~」ということは、実施は義務ではないことになります。
ただし、鑑定を受けた物件はいわばお墨付きを得たようなもの。
冒頭にも書いたとおり、価格算定の根拠として示せるものなので、ある方が良いのは間違いありません。
よって、確実に出資者・出資金を募りたいなら、鑑定評価書は必須です。
鑑定評価が投資家にとっての判断材料に

鑑定評価は、不動産を売る側でも買う側でもない第三者の不動産鑑定士が行います。
中立な立場で出された価値・評価は、出資者にとっては大きな目安。
少なくともその時点での正しい評価額と、実際のファンドの募集金額とが乖離していないかが分かります。
その時点で大きく差があるような商品(運営会社)は信頼できませんよね?
また、不動産鑑定では、原価方式・比較方式・収益方式の3種類の評価基準あります。
原価方式は、不動産そのものの価値に着目する方法。
比較方式は、その不動産を、市場と比較してみた場合の価値に着目する方法。
収益方式は、その不動産の収益性(住宅や事務所、店舗としての賃貸経営の収益など)に着目する方法。
以上の3つです。
このように様々な視点で評価されるからこそ、投資家は安心して出資できるのです。
不動産鑑定士の選び方

依頼する不動産鑑定士を選ぶ際、最も重要なのは経験です。
もちろん、適正な評価をしてもらうため、というのもありますが、鑑定評価を行った場合には、評価を行った者の氏名を表示するよう定められていることからも、実績のある鑑定士であることが望ましいです。
不動産鑑定の業務歴が長く、鑑定件数が多い方が良いでしょう。
鑑定件数の実績が公開されているとより安心ですね。
また、不動産そのものや、不動産業界の知識も豊富にあればベスト。
もしくは、関連分野の専門家との繋がりや協業体制があると良いでしょう。
あとは、全国どこの物件でも対応ができるか?
途中経過の報告や連絡をこまめにくれるか?
素早い対応や、柔軟な納期対応が可能か?
などが、信頼できる不動産鑑定士を選ぶポイントになります。
決して安くはなく、投資家からの信頼にも関わる鑑定評価の依頼。
不動産鑑定士選びは慎重に行いたいものです。
まとめ
不動産特定共同事業法においては、鑑定評価は義務ではありません。
しかし、投資家の信頼を得るためには必須と言っても過言ではないでしょう。
評価がある、公開されていることは、投資家にとって大きな安心・判断材料になります。
そんな大切な鑑定評価書を依頼する不動産鑑定士選びは慎重に。
経験豊富な鑑定士でなければ、かえって信頼を失うことにもなりかねません。
信頼できる不動産鑑定士を見つけ、正直、公正、適正な評価を打ち出すことで、投資家からの信用と出資金を集めましょう。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
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