コラム

減っていく年金支給額 | あなたはそれをどうやって補いますか?

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

令和4年4月分(6月15日支給分)から年金額が減額されることがニュース等で話題になっています。物価が上昇している局面の状況での支給額の減額は、私たちに大きなインパクトを与えています。

今回は、私たちは今後どのようにして資産形成をしていくべきなのかを一緒に考えていきたいと思います。

あなたに必要なことは貯蓄マインドから投資マインドへの変化

2021年12月末時点で日本の個人金融資産は2,000兆円を突破したと言われています。そして、その内の約54%が現金預金の残高だと言われています。つまり、約1,080兆円が現金・預金に相当しており”動かぬ山”と化しています。

ご存知の通り、日本の銀行の預金金利は実質0%(0.1%を割っている)の時代が20年以上続いています。金利1%を割ってからは既に30年近くが経過しているというから驚きです。

その20-30年もの間、私たちはお金を増やすことを放棄してしまっていることが、上の数字からは読み取れます。

今後も、低金利時代は続き、預金金利が上昇することはなかなか考えづらい状況の中においては、私たちのマインドをいち早く『貯蓄から投資』へとシフトする必要があります。

令和4年4月分(6月15日支給分)から年金額が減額

日本年金機構によれば、法律の規定により、令和4年4月分(6月支給分)から年金額が原則的に0.4%減額されます。

下の表をご確認下さい。

令和4年度(月額)令和3年度(月額)
国民年金(老齢基礎年金-満額の場合)64,816円65,075円
厚生年金
(夫婦二人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)
219,593円220,496円

国民年金受給者の場合、満額納めた場合では、令和3年度の月額は65,705円に対して、令和4年度の月額は64,816円。月額にして259円、年額にして3,108円の減額になります。

厚生年金受給者の場合、夫婦二人分の老齢基礎年金を含む標準的な金額にはなりますが、令和3年度の月額は220,496円に対して、令和4年度の月額は219,593円。月額にして903円、年額にして10,836円の減額になります。(※一部記事では、1年で1万4,000円の減額と書かれていますが、厚生年金には老齢基礎年金が含まれていますので減少額を合算してはいけません)

国民年金の受給者の場合、多くは自営業者やフリーランスの方になります。彼らは、年金受給世代であっても仕事が確保されていて、収入の柱がきちんとある場合が多いため、自助努力ができる層ではないかと思います。しかし、厚生年金受給者の場合、会社員という立場によって身分が保証されている反面、定年退職後は公的年金を中心に生計を考えなければなりません。

年額で10,836円の減額は、銀行預金の金利も実質0円の状況下では、非常に重く受け止めなければなりません。

ここで、一定数の方は月額259円や903円という数字に対して、そこまで大きなインパクトを受けなかったと思います。確かに、数字そのものはあまりインパクトのあるものではありません。しかし、次に紹介させていただく『物価と賃金』の関係を目にすれば、その印象も変わると思います。

年金額が減額された背景とは?

さて、今回の『年金額が減少した背景』についてご説明します。

日本年金機構のホームページを確認すると、年金支給額が減少した理由は以下のように説明されています。

法律の規定により、令和3年度から原則0.4%の引き下げとなります。」これだけだと少しわかりにくいのですが、年金支給額の変動には一種の方程式が存在します。

それが『マクロ経済スライド』と呼ばれるものです。『マクロ経済スライド』とは、そのときの社会情勢(現役人口の増減や平均寿命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みのことをいいます。

もっと簡単に言えば、物価や賃金が上がれば『年金額』は上がりますが、物価が上がっても、賃金が下がれば『年金額』は下がった賃金に合わせて減少します。

ここで考えなければならないのが『実質賃金』です。一般的に私たちの『賃金が上昇しない』ことは周知のとおりですが、この実質賃金が下がる場合は非常に厄介なのです。

実質賃金とは、労働者が毎月の給与で購入できる物品やサービスの量を示したものです。これが下落していれば、給与の上昇よりも物価の上昇が大きい。上昇していれば、物価の上昇よりも給与の上昇の方が大きいということになります。

今回の状況としては、物価は上がっているものの賃金が下がっているため、下がった賃金に合わせて年金受給額が下がったということになります。

物価は上がるが賃金は上がらないという切実な問題

これは、現役世代である私たちにとっての問題に限定できません。年金受給世代にとっても非常に切実な問題になります。

日本に限らず世界的に『インフレの時代』だと言われていますが、日本の平均賃金についてはここ30年余り横ばいの状況です。その結果、物価は上昇しているが賃金は増えないという状況で、実質的に私たちは貧しくなってしまっています。

この問題は、現役世代における購買力の低下にみならず、年金受給世代における『年金受給額の減少』という形で、あらゆる世代に大きなダメージを与えているのです。

年金の不足分を補うために必要なこと

受給する年金額は『賃金相場』によって決定されると先ほどお伝えしました。

向こう将来、人口が大幅に増加することも期待できず、GDPが大きく上向くことも期待できないと言われている中で、私たちの賃金が上昇する、とりわけ実質賃金(賃金で購入できるものの量)が上向くことは期待できません。

そうなると、私たちがするべきことはただ一つ『収入の柱』を複数持つことだと思います。私が思うに、元本保証付きの高利回りだった貯蓄マインドからの脱却がいち早く脱却して、自分自身でお金を増やすための努力が必要になると考えています。

それが『資産運用』になるわけです。

年金の上乗せとしての資産運用は何から始めたらいい?

これまでの貯蓄中心のマインドから脱却することは並大抵のことではありません。

「今さら資産運用と言われても何から手を付けていいのか分からない」と思われた方も多いのではないでしょうか。

資産運用と言っても様々な種類があります。

  • 株式投資
  • 投資信託
  • 不動産投資
  • 債券投資
  • 現物投資(金など)

この辺りが、投資商品として身近なものになるのでしょう。

さらに最近では、新たな資金調達手段として、投資型不クラウドファンディングやソーシャルレンディングのような金融商品も普及してきました。インターネットの普及によって、資金力のある人が様々な事業やサービスに対してお金を出す手段が整備されてきました。

商品によってリスクは大きく変わるため投資先の選択には注意が必要です。

年金受給世代の場合は、現役世代と比較して投資期間が限定されますので、リスク(相場変動の)少ない資産に投資することが望ましく、”年金の上乗せ”という観点では、インカムゲインを中心に利金を受け取れる仕組みをできる限りたくさん用意するべきです。

具体的には、債券投資や不動産クラウドファンディングのような、相場変動が極めて少なく、定期的に利息や配当を受け取れるものが望ましいと考えています。

そして、もしあなたが株式投資や投資信託を中心に運用するのであれば、グロース株(株価そのものが上がる可能性の高い銘柄)ではなく高配当銘柄を中心に選択するのが望ましいのではないでしょうか。

年金受給額は今後さらに減少する可能性が考えられます。受給額が減少してしまうことに対して、嘆きたくなるのも理解できますが、「自分自身が出来る対策はなんなのか」を改めて考えてみる絶好の機会なのではないかと私は思うのです。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 櫻井

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