不動産特定共同事業

ファンドの運用期間と再組成の考え方について解説 | 不動産特定共同事業の実務

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

不動産特定共同事業に興味を持ち事業許可の取得を目指している不動産事業者から、よく次のような質問をいただきます。

ファンドの運用期間内に不動産を売却できなかったらどうなるの?

不動産を小口化して出資者を集めるとはいえ、一つのファンドに対して金額にして数千万円以上の資金を集めることになります。

万が一運用期間内に売却ができなければ、集めたお金を自己資金から返済しなければならないのではないか?という心配から来る質問だと思います。

非常に素晴らしい質問です。

今回は、そのような質問の意図を汲んで「ファンドの運用期間と再組成の考え方」をテーマにして解説していきます。

不動産特定共同事業で資金調達する不動産の主な特徴

最初に、不動産特定共同事業でファンド化するような不動産の特徴についてご説明します。

不動産特定共同事業で不特定多数の投資家から資金調達する対象不動産の一つは、金融機関の融資が下りない不動産です。

不動産関係者であれば、融資が下りない不動産の特徴はお分かりだと思いますが、具体的には以下のような不動産になります。

  1. 築古物件
  2. 違法建築
  3. 取引先の金融機関の管轄外の地域の不動産

これらの不動産が金融機関の融資が下りない不動産です。

金融機関の融資が下りない不動産は、原則的に自己資金(現金)で購入しなければならず、資金効率面ではメリットが多くありません。

なので、他の融資が下りるような不動産と比べて、買い叩かれたり、安く販売されたりしているため、必然的に利回りが高くなるわけです。

もちろん、これらは価格が安くなり、利回りが上がる理由の一つに過ぎませんが、主な特徴として説明する分には十分な要素になります。

融資が下りない不動産は売れない?という考え方は間違い??

不動産特定共同事業を新たに始めようと考えている事業者が懸念することはこうです。

「融資が下りないような不動産を高い利回りをつけてファンド組成したところで、投資家は集まるけど、最終的に外売りができないのではないか?」

これについては理屈上、購入者の母数は減るでしょう。

それでも、そういった高い利回りの不動産を長期的に保有してインカムゲインを分厚くすることを目指すような投資家もいらっしゃいますし、事業者に販売するといった選択肢もあります。

適切な仕入れ活動を行ない最適な販売ルートを確保しさえすれば、融資が下りない不動産であっても間違いなく売却することはできます。

ファンドを再組成することは可能

不動産特定共同事業の様々なファンドを確認してみると、全てのファンドに運用期間が明記されています。

クラウリングのWebサイトには「ファンド一覧」ページが存在し、様々な事業者のファンド情報を確認することができます。

事業者はファンドの運用期間を1年や6か月といった期間を設けて投資家を募集しています。

運用期間が終了したら元金を投資家に償還する

この期間内に、想定している回数の配当を支払い運用期間が終了したら出資元金を償還することになります。

投資家から集めた資金で不動産を購入して、資産運用をしているわけですが、投資家の出資元金を償還するには、購入した不動産を外売りしなければなりません。

万が一、期間内に売却ができなければ自己資金(手金)での返済が必要になりますが、このような状態が続くと、事業者は資金ショートしてしまいます。

同じ不動産に対して運用期間を新たに設定すれば再組成が可能

そのような事態を防ぐために、事業者はファンドを再組成することができるのです。

運用期間終了の1~2か月前に告知を行ない、再組成の準備をしておければ、運用期間終了と同時に新たなファンドとして再組成することができます。

再組成されたファンドに出資するか否かは、投資家の判断に委ねられますが、配当を遅延なく想定通りの利回りで支払っていれば、一定数の投資家は再投資をしてくれます。

もちろん全ての投資家が再投資してくるわけではありませんが、凡その目安として7割-8割程度は再投資をしてくれるでしょう。

残りの2-3割については新たに募集することになりますが、投資家をしっかり確保できている状態であれば、比較的簡単に投資家は集まります。

ファンドの再組成は悪いことではない

もしかしたら、再組成に対してネガティブなイメージを持たれたかもしれませんので補足をします。

再組成は決して悪いことではありません。

不動産を外売りできなかったという理由があるのかもしれませんが、ファンドとしてきちんと資産運用が出来ているのであれば、それは良質なファンド用物件ということになります。

投資家に良質な投資機会を提供するという意味でも、運用修了するファンドを再組成することは決して悪いことではありません。

運用期間を長期にすると投資家が集まりにくい?

ファンドを再組成するなら、最初から運用期間を2-3年以上にしておけばいいのでは?といった声が聞こえてきそうですが、それはそれで別の問題があります。

不動産特定共同事業では、運用期間を長期(ここでは一年を超える期間と定義します)にすると、募集時に出資者が集まりづらくなるという傾向にあります。

「投資の三大原則」と言われる「長期」「積立」「分散」の実践が推奨されていますが、情報の伝達速度が速く、物事の移り変わりが速い時代においては、投資に「流動性」も求められているのでしょう。

また、不動産特定共同事業ならびに不動産クラウドファンディングに投資する投資家は、投資経験が浅く、いわゆるライト層も多く、資金の流動性は投資判断において重要なポイントであると推測できます。

そういった意味においても、運用期間は短め(1年以内)に設定して状況に応じて再組成を行なって新たなファンドとして再出資を求める方が合理的なのです。

ファンド不動産は基本的に売却、状況に応じて再組成を検討する

匿名組合型のファンドは投資家から資金を集めても、この段階では会社の売上にはならず、外売りして初めて会社の売上が計上されます。

したがって、運用期間内に不動産を売却することを目標にして状況に応じて再組成を検討することがファンド事業の定石になります。

もちろん、運用期間中に不動産の売却をしてファンドを早期終了することは、約款や重説に記載するなどして事前告知しておけば、特段問題はありません。

仕入れから売却までの流れについても、通常の不動産売買と同じ考え方になりますが、そこに一般投投資家の投資資金が絡むため、複雑に見えてしまいます。

一般投資家からの資金調達が可能になる不動産特定共同事業によって、不動産の仕入れから売却までの流れを高速化させ、積極的に事業を回していくことが成功のポイントになります。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 櫻井

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