不動産特定共同事業

不動産特定共同事業|それぞれの目的

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

近年、右肩上がりの成長を続ける不動産特定共同事業(不動産クラウドファンディング)。

元々はこうした現物不動産を資産としたファンドの運用を規制する法律「不動産特定共同事業法(不特法またはFTK法とも言う)」にとても複雑な規則があり、取り扱う事業者自体が少なかったことで、なかなか広まらなかった資産運用サービスです。ところが、平成25年と平成29年、2度に渡る不特法改正により事業者が参入しやすくなり、一気に市場が拡大しました。

国が2度も法改正をしてまで不動産特定共同事業を活性化させたかった理由は何なのか?それにより事業者はどうなったか?投資家は?

今回は、国・事業者・投資家それぞれの立場から見た不動産特定共同事業の目的について考えたいと思います。

国が不動産特定共同事業を推進したいワケ

不動産運用の活性を国が後押し

不特法は不動産投資家保護を目的に、平成7年に施行されました。その背景には、バブル崩壊に伴う、不動産小口化商品取り扱い企業の倒産ラッシュがあります。それ以前から販売が急増していた不動産小口化商品ですが、その頃は今のような規制はなく、経営基盤の盤石でない企業も参入していたため、バブル崩壊時に耐えきれず倒産、多くの投資家が損失を出しました。

そんなことを繰り返さないために施行された不特法ですが、当初はあまりにも規制が厳しく、複雑だったため、事業者は多くありませんでした。

そこで平成25年最初の法改正で、不動産取引などで発生する収益を投資家に分配することを事業とする「特例制度」が導入されました。ただ、この時点でもまだ要件が厳しく、減税の範囲が限定的などの理由から、そこまでの普及には至りませんでした。

そして平成29年、このままでは不動産特定共同事業の発展が見込めないため、2回目の法改正が実施されます。この改正法により、現物不動産ファンドの組成・運用が可能な範囲が拡大。また、特定共同事業者の許可を得るための要件が緩和された小規模不動産特定共同事業も創設され、参入事業者・販売物件数や種類も格段に増えていくことになるのです。

では、なぜそこまでして不動産特定共同事業を活性化させたいのか?その理由は、不動産特定共同事業を通じて地域活性が期待できるからです。というのも、地方にある空き家や空きテナント、商店街などの不動産を新たな投資物件として再生・販売することで、土地や建物を活用しつつ、地域に人を呼んだり、雇用を生んだりといったことにも繋げられる可能性があるのです。国が税金を投入せずともできる地域活性策、おいしい話ですよね。

事業者が続々と不動産特定共同事業に参入するのは?

不動産特定共同事業者が急増中!

続いて、不動産特定共同事業者になる目的はどうでしょうか?やはり一番の目的は、新たな投資家層の獲得だと思います。

従来の不動産投資の多くは高額で、金融機関からの融資を受ける前提での運用が基本でした。もちろん、誰でも融資を受けられるわけではないので、出資するにはかなりハードルが高いものでした。しかし、不動産特定共同事業で不動産を小口化したものを、不特定多数の投資家から小口出資を募集することで、一人あたりの出資額を減らし、ローンを組まなくても不動産に投資できるようになりました。これなら高所得者層でなくとも、一般投資家でも参加しやすいでしょう。つまり、特に不動産会社からすると、今までお客様になり得なかった層の人々を、新たな投資家として獲得できるかもしれない大きなチャンス。また、こちらの運用で成果を出すことで、リピートや、後には更に大きな出資に繋げられるかもしれません。新規顧客の導入部分となり、そこで信頼を得てリピートや紹介に繋げる、不動産会社の看板商品とすることが大きな目的となるのではないでしょうか。

投資家が不動産特定共同事業に出資する目的

初心者にもベテランにも魅力的な投資

それでは、投資家が不動産特定共同事業を選ぶ理由は何でしょうか。最も多いのは、不動産投資初心者でもやりやすいからではないでしょうか。そのポイントは大きく3つあります。

1, 少額から運用が可能

従来の不動産投資では出資額が高額な上、資産価値の高い物件には人気が集中。特に一般投資家にはなかなか手が出しづらいものでした。しかし、不動産特定共同事業では不動産を小口化することで出資額を抑えることができ、人気物件の運用に参加できる可能性も広がりました。

2, 不動産投資でありながら、不動産の所有者にはならない

暗号資産や株式、為替などと違って実物資産であることも人気の理由の一つである不動産投資。しかし、一般的な実物不動産投資は投資家自身がオーナーとなり、自身もしくは管理会社へ委託するなどして物件の維持・管理の責任がありました。ところが不動産特定共同事業では対象の不動産を保有するわけではありません。物件の管理もその責任も負わないので、極端に言うと、不動産の知識が無くても不動産投資が出来るのです。

3, 運用期間が短め

従来の不動産投資は通常、物件を購入して賃貸し、その家賃収入を得るというのが一般的でした。つまり、その物件を売却するまではずっと運用が続くのです。でも、基本的には年月を経るに連れ、不動産の価値は緩やかにでも下落します。災害や事故による大幅な下落も無いとは言い切れません。しかし不動産特定共同事業では運用期間が決まっており、大体が半年~数年程度。数年程度では経年変化のみで大幅な価値の下落があるとは考えにくいです。また、ファンドによって異なる運用期間を選ぶことで、少し先の未来への計画的な資産運用をしやすいのもメリットです。

以上のような特徴から、不動産投資あるいは投資そのものの初心者であっても参加しやすく、投資入門編として始める人もいるでしょう。そして、投資に詳しい方でも、自身のポートフォリオを充実させるために不動産特定共同事業の様々なファンドに少しずつ分散投資される方も居ます。

まとめ

国・事業者・投資家それぞれ、不動産特定共同事業に求めること、目的が異なることを見てきました。目的は違えども、各々にメリットがあり、この事業が活性化することは三方ともに良いことと言えるでしょう。中でも事業者の参入が増え、商品が増えていくことが、全体を一気に活性化させる一番の近道だと思います。事業者同士が競争し合うことでよりよい商品やサービスが生まれ、そのことで投資家(顧客)も増えていく。そうすれば物件の活用が広まり、地域活性化にもつながっていくという好循環が生まれるのではないでしょうか。

まだ不動産特定共同事業をされていない不動産会社様は、ぜひ参入を検討してみて下さい。将来への備えとして投資を始める一般の個人投資家が増えている今、これからも間違いなく伸びていく業界だと思いますよ。

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この記事を書いた人

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