不動産特定共同事業の市場規模は?今後はどうなっていく?
不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。
不動産投資と言えば、不動産特定共同事業(不動産クラウドファンディング)という日も近い?
数年前までは「不動産特定共同事業」という言葉を聞いたことがない人も多かったことでしょう。
しかし、特にクラウドファンディングでの対応が可能になってからは、事業者の参入や商品の大幅な増加、そしてメディア等での露出も増えたことにより、一気に市場が活性化されてきました。この市場の急拡大は一時の流行りによるものでしょうか?
今回は不動産特定共同事業の市場規模について、これまでとこれからの動きを考えていきます。
不動産特定共同事業への参入を検討中の事業者様はぜひご一読ください。
これまでの不動産投資にはなかった投資家層の出現

不動産特定共同事業がメジャーになるまでは、不動産投資と言えばマンションやアパートの経営といった、部屋やビルまるごとを買い取って賃貸し、家賃収入を得るという構図が一般的でした。
ただしこの場合、不動産を購入することになるので、当然高額な投資になりますし、ローンを組める高所得者層、医療関係者や公務員が主なターゲット。ある程度の年収があれば、サラリーマンでもマンション投資をしている人がいましたが、多くの庶民には手が出せるものではありませんでした。
ところが不動産特定共同事業は、家賃からの収益であったり、現物が存在したりという不動産投資ならではの特性を持ちながら、1口あたり数万円程度という少額での出資が可能。一般の個人投資家が不動産投資の世界に入り込めるようになりました。これにより不動産投資のターゲット層が拡がり、商品となりうる不動産の種類や数も増やせるように。
今後はお客様の需要に合わせ、従来の不動産投資商品と、不動産特定共同事業の商品(ファンド)を柔軟に組み合わせて販売することが、事業者にとって成功の鍵となるのではないでしょうか。
この他の不動産特定共同事業への参入メリットはこちらの記事で詳しく紹介しています。
市場規模は拡大し続けている

前述のとおり、事業者にとっては新たなターゲット層の獲得という非常に大きなメリットのある不動産特定共同事業ですが、投資家にとっても、その市場の活性化は歓迎すべきことでしょう。
なぜなら、個人投資家が増える=出資額が増えれば、事業者はその分、多くの物件や、より良い不動産を取得できるようになります。
投資家が増える▶出資額が増える▶事業者が成長する▶商品の品質向上▶投資家が増える▶出資額が増える…というサイクルができれば、事業者の実績が増え、投資家は事業者への信頼感や、商品の選択肢の拡がりを得られます。
不動産特定共同事業は、文字通り「共同事業」。
事業者と投資家が一緒にその商品(不動産)を育てていくようなイメージなので、まさにクラウドファンディングの考え方(プロジェクトを応援する)に近い投資なのです。だからこそ、クラウドファンディングによる出資が可能になってから、より市場が急拡大しました。
そして一時はCM等でもかなり宣伝されておりましたが、それも一旦落ち着きを見せるくらい、すでに浸透してきたと言えるのではないでしょうか。
そんな不動産クラウドファンディングについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
ESG投資とは?

ところで、ESG投資という言葉はご存知でしょうか?
ESGとは、「Environment=環境」「Social=社会」「Governance=企業統治」の頭文字をとった言葉です。企業が長期的に成長し続けるためには、この3つの観点へ配慮しなくてはいけないという考え方で、世界的に広まっています。
これまで企業へ投資する際は、その企業の財務状況や業績など、経営状態を示すデータをもとに投資先を選ぶのが一般的でした。しかし、ESGに取り組み、持続可能な社会や環境を作り出すことが、企業の持続的な成長にも必要という考えが投資家の間にも浸透し、投資先の判断基準としてESGへの取り組みも加わっています。特に「責任投資原則(PRI)」を国連が発表した2006年以降、ESG投資を行う投資家が急増しました。
要は、投資先を選ぶ際に、単純にその企業の今の規模や業績、商品開発などの金銭的な将来性のみで判断するのではなく、地域社会や環境への配慮、自社の情報開示やリスク回避といった社内環境整備への取り組みがされているかどうか?といった、目先の利益にとらわれない、持続的な成長が見込めるかどうか、を大きな判断材料とする投資家が増えているのです。
これもまた、クラウドファンディングの考え方に当てはまるのではないでしょうか。つまり、不動産特定共同事業、不動産クラウドファンディングも、ESG投資の傾向に合った投資商品になり得るのです。
行政も活性化を後押し

SDGsにも似た印象のESGという言葉ですが、簡単に言うと、SDGsは持続可能な開発「目標」で、ESGはその目標を達成するための手段であると言えます。また、ESGは主に投資対象の意味で使われることが多いです。そんな「持続可能」な環境・社会への配慮や企業成長を促すESG投資の考え方は行政も注目しており、不動産特定共同事業の活性化を後押ししています。
具体的には、地方の自治体と組んで、自治体所有の古い不動産の再生・活用プロジェクトを立ち上げ、不動産特定共同事業により個人投資家から出資を募り運営、費用を賄ったり、地域に雇用や移住を生んだりといったことが期待できます。これまでにも官民連携で様々な開発が行われており、その事例はこちらの記事で詳しくご覧いただけます。
また、令和2年には国土交通省で「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会」が行われており、具体的な課題や今後の取組について話し合われています。それだけ注目度が高く、今後も活性化させていきたいという意向の現れと見て間違いないでしょう。
まとめ
平成25年の特例事業の導入以後、徐々に案件数を伸ばしてきた不動産特定共同事業ですが、平成29年に小規模不動産特定共同事業を創設するとともに、クラウドファンディングの活用も本格化。それにより、以降はこれまでには無かった伸び率で案件数が増加しております。
政府や自治体の後押しもあり、今後も市場規模は拡大傾向にあるといえるでしょう。その点では、一部の富裕層のみがターゲットになりがちな一般の不動産投資よりも主力商品となる可能性もあります。
多くの出資を集めることができれば、それだけ良い不動産を取得することができるようになり、良い物件が扱えればまた、投資家を集めることができます。こうした好循環を生み出せば、安定し、長期的に成長し続ける企業経営が可能に。
ESG投資の潮流もあり、これからの不動産投資業界では、不動産特定共同事業が必須となる日も近いかもしれません。

この記事を書いた人
クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本
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