不動産特定共同事業

不動産特定共同事業の利回りはどれくらいがちょうどいい?

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

投資家は利回りだけでは選ばない?

高利回りの商品は確かに投資家の目に止まりやすいでしょう。

しかしそれは比例してリスクの高さも感じさせているのです。

不動産特定共同事業の利回り、色々な数字が出ていますよね。

平均すると5%前後が多いように思いますが、10%など破格の利回りも存在します。

そんな利回り、高ければ良いというものではなさそうですが、何を基準に決めれば?どのくらいがちょうど良いのか?分かりませんよね。

今回は投資家目線で利回りを見た時にどう思われるか?を考え、それに対し事業者がどう対応すべきか?を考えます。

不動産投資の利回りとは

利回りとは、投資した金額に対して得られる収益の割合を表す言葉です。

このくらいまでは、投資に興味を持ったことがある方であれば大体ご存知でしょう。

しかし、不動産投資における利回りには様々な種類がある、ということまでは、投資初心者にはまだあまり認知されていないのではないでしょうか。

例えば「表面利回り」「実質利回り」

不動産投資を行うためには、最低限この2つの利回りの違いは理解しておきたいものです。

表面利回りとは

対象物件の取得(出資)時点での運営状況で、そのまま1年間運用された場合に得られる収益の概算です。

計算式は、

年間の家賃収入÷物件価格×100=表面利回り

不動産投資の広告で出てくる利回りは、ほとんどがこの「表面利回り」となります。

ただし、ここには不動産投資にかかる経費は一切加味されていないため、実際の利益はこれより低いものになります。

とはいえ、この表面利回りの高さ、低さが、投資先を判断する上での最初の着目点であることは間違いありません。

一番シンプルな計算方法のため、周辺物件の相場や、他に検討中の商品と比較する際に便利な指標です。

グロス利回りと呼ばれることもあります。

実質利回りとは

同じく、対象物件の取得(出資)時点での運営状況で、そのまま1年間運用された場合に得られる収益の計算となりますが、こちらは物件購入や所有時にかかる経費を加味します

計算式は、

(年間の家賃収入-年間の必要経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

年間の必要経費には、固定資産税や管理維持手数料、共用部分の水道光熱費、通信費、建物の減価償却費が含まれます。

購入時の諸経費には、不動産登記に関わる登録免許税、不動産所得税、仲介手数料が含まれます。

表面利回りと比べると正確な数値が出せますが、実際には運用中に共用部分の修理が必要になるなど、思わぬ出費の可能性もあります。

また、対象物件の取得(出資)時点から状況が変わった場合、例えば空室が増えてしまうと、その分は見込んでいた収益から減ってしまいます。

必ずしも実質利回り通りの利益が得られるわけではないので注意が必要です。

このような利回りの考え方は、不動産会社や投資をしたことがある方にとっては常識かもしれません。

しかし、特に、初心者からの出資も受けやすい不動産特定共同事業においては、初心者向けの案内を丁寧にすることが、事業者としての信頼を得る鍵となります。

不動産特定共同事業における想定利回り

不動産特定共同事業では、不動産小口化商品の説明において、「想定利回り」や「予定分配率」、「配当イメージ」といった表現が使われます。

これらは、対象物件(ファンド)のすべての部屋が稼働中(満室)で1年間運用された場合に見込まれる収益のことを指します。

つまり、収益の限界値です。当然、空室が出れば収益は目減りします。

あくまでも見込みなので、利回りを保証するものではありません。(利率の固定は法律で禁止されています)

また、これらは前述の表面利回りと同様、不動産運用にまつわる諸経費が考慮されていない場合もあるので、利回りの記載はよく確認しなければいけません。

さらに、不動産特定共同事業や不動産クラウドファンディングによる収益(最も多い匿名組合型の場合)は不動産所得ではなく雑所得として扱われるため、利益に対して課税(源泉徴収税として差し引き)されます

運用益 ― 諸経費 ― 税 = 実質の利益

と考えると、想定利回りから計算した利益額からは大幅に減る印象になるかもしれません。

ですが実際、投資初心者が想定利回りだけを見て、ここまでイメージするのは難しいもの。

後でトラブルやクレームとならないためにも、利回りや利益額についての説明は丁寧すぎるくらい慎重な案内を心がけましょう。

利回りが高ければ良いということではない?

不動産特定共同事業の利回りは低いものでも3%程度からと、年利0.001%の預貯金とは比べ物になりません。

でもどうせなら、より利回りの高い商品にと考えたくなるのが出資者目線ですが、それと同時に、リスクも大きくなる可能性も考えます。

やはり投資初心者であっても、基本的にハイリスクならハイリターン、ローリスクならローリターンと、リスクとリターンは比例するイメージを持っています

利回りが高いということは何かあるのではないか?でも、あまり低すぎるのも嫌だな…

そんな葛藤の中、商品を選んでいる方がほとんどでしょう。

今、よく売り出されている不動産小口化商品を見ると、利回り3%~5%程度が一般的でしょうか。

このあたりの数値ならさほど気にならないですが、6%以上、特に8%~10%くらい高利回りになってくると、どうしてもその裏のリスクを考えてしまいます。

単純にハイリスクなのでは?という恐れだけでなく、何かあるのでは?という疑念にまで繋がると厄介です。

実際、不動産クラウドファンディング等の敷居の低さを利用し、顧客情報を得てリスト化するような、マーケティング目的で不動産特定共同事業を行う事業者も居るのだとか。

不動産に限りませんが、投資関連の詐欺やトラブルも多く、おいしい話ほど不信感を抱く人は少なくありません

利回りが高いことは確実に投資家の目を惹きつけ、出資に繋がる可能性も高めますが、同時に、出資者にとっても事業者にとってもリスクになりかねない点に注意しましょう。

あまり高利回りの商品ばかりにすると、あらぬ誤解を招くかもしれません。

利回り(商品)のバランスが大事

では、実際どのくらいの利回りの商品を揃えるのが良いのでしょうか?

一概には言えませんが、投資初心者ほど、やはり最初はリスクの小さそうな、リターンも小さい商品、もしくは利回り5%程度の平均的なラインから始める方が多いでしょう。

最初から失敗したくはありませんから。

投資経験者はいきなり高利回りの商品に出資するかもしれませんが、不動産投資への間口を広げるという意味では、経験者よりも初心者向けの商品を増やしたいところ。

そう考えると、利回り3%~5%程度の商品を一番多くし、それ以上の利回りについては、高くなるほど数を少なくしていくのが良さそうです。

なぜなら、高利回りの商品は希少であるという印象をつけることで、いらぬ疑念を持たせることなく、自然と幅広いラインナップを揃えることができるからです。

また、同じ利回りの商品の中でも運用期間(長さ)に変化をつけることで、さらに選択肢が拡がり、より様々な投資家需要に応えることができるようになります。

どのような利回りにするにせよ、重要なのは、その物件でその利回り設定にしたのはなぜか?という根拠が確立しているかどうか。

それは物件のアピール・プレゼンの仕方にもよりますが、その利回りの高さ(低さ)はこのような理由から、ということが説明できるかできないかで、投資家からの信頼は全く変わってきます。

元本割れや想定利回りを下回ることを避けるためにも、利回りの設定は慎重に行いましょう。

まとめ

最近の不動産クラウドファンディングの商品を見ていると、想定利回り6~8%というものも多く、中には10%という高利回りの商品も。

しかし、やはり一般的にハイリターンな程リスクも高く、元本割れの可能性を考えると手を出しづらいという人も増えるでしょう。

利回りの高さだけを売りにするやり方では、かえって不信感を与えるかもしれません。

一方で、不動産小口化商品を探している人にとっては、利回りの高さは確実に目に止まりやすいというメリットはあります。

事業者としては、利回り3%~5%程度の平均的な利回りの商品から、6%以上の高利回り商品まで、バランスよく展開できると理想的です。

そして、それぞれの商品に対して、その利回りが設定された根拠(そのファンドがそれだけの利益を出せる理由)を示し、万が一の時の出資者保護の方法も丁寧に説明することで、投資家からの信頼を得られるでしょう。

今後も不動産特定共同事業はますますの活性化が見込まれ、それに連れ商品の種類や利回りにも変化があるかもしれません。

その時々でちょうどよい利回りのバランス、需要を見極め、柔軟に商品を提案していくことが必要ではないでしょうか。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本

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