不動産特定共同事業

FTK事業における特例事業の仕組みと条件・メリットについて解説

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

不動産特定共同事業不動産クラウドファンディング)における特例事業とは、不動産特定共同事業契約に基づく収益・利益の分配を行なうことを目的とする法人(SPC、特別目的会社)が実施するものを指します。

特例事業を実施するための許可は不要で、届出のみで可能なため、事業者にとっては非常に参入しやすい制度です。

また、SPC(特別目的会社)が実施する特例事業は、出資金の流用防止や倒産乖離機能が働くことから、投資家にとってはリスクが小さくなるメリットがあります。

これだけ聞くと、事業者にも出資者にも、双方にメリットのある魅力的な事業に思えます。

ただし、特例事業の実施には、通常の不動産特定共同事業には無い条件や規制も。

今回は特例事業の仕組みや条件、メリットについて解説します。

特例事業への参入をご検討の事業者様は、ぜひご一読下さい。

SPC(特別目的会社)とは?

特例事業者=SPCとはSpecial Purpose Companyの略で、特別目的会社と訳されます。

SPCは、ファンド(事業)を運営するために設立される法人です。

出資の募集業務やファンド(不動産小口化商品)の運用(不動産管理など)は、それぞれ許可を受けた不動産特定共同事業者に委託されます。

その分、SPCが特例事業を実施する場合、事業実施のための許可は不要で、届出のみで可能

また、SPCは宅地建物取引業の許可を受ける、もしくは宅地建物取引士を置く必要はありません

ただし、みなし宅地建物取引業者として、営業保証金の供託、受領手付金額の制限などの業務規制が課せられています。

いずれにせよ、通常の不動産特定共同事業者と比べると、かなり条件が優しいと言えるのではないでしょうか。

特例事業のスキームは?

図のように、SPCが主体となる事業スキームのことを特例事業と言います。

SPCは自社だけでは事業を行うことはできず、それぞれの業務を、許可を受けた不動産特定共同事業者に委託する必要があります。

投資家から出資を募集したり、契約したりする業務は、第4号事業者に仲介を委託することになります。

そして、ファンドの運用(不動産の取引や管理など)は、第3号事業者に委託されます。

反対に言うと、第3号事業者は、SPCから業務委託されたファンドのみ運用が可能で、自社が保有する不動産を直接運用(出資金を保有)することはできません。

第4号事業者もまた然りです。SPCが当事者となる不動産特定共同事業の募集業務しかできません。

特例事業の条件と規制

SPCによる特例事業には、事業実施の許可が不要、宅建の免許も不要など、条件が緩いようにも感じます。

しかし特例事業には、通常の不動産特定共同事業には無い独自の要件や成約も存在します。

一つは、特例事業による不動産特定共同事業契約では、金融商品取引法上のみなし有価証券とされることです。

一般的な不動産投資とは違い、投資信託のような、より金融商品に近い扱いとなり、金融商品取引法の規制も適用されるのです。

(参考:金融商品取引法について(金融庁))

もう一つは、特例事業では、一定の規模を超える宅地の造成又は建物の建築に関する工事などを行う場合、出資可能なのはプロ投資家(特例投資家)に限定されます。

これは、扱える事業の規模に制約があることになります。

あくまでも「特例」である以上、それを認めるに足る条件や制限がかかることは当然のことかもしれません。

とはいえ、これらを加味しても、特例事業に参入するメリットは多いと考えます。

特例事業のメリット

特例事業では、SPCと、募集をする第4号事業者、運用をする第3号事業者がそれぞれ独立しているため、出資金を別事業に流用したり、倒産して返還不能になったりというリスクがほぼありません。

企業の資産と各ファンド用資金とを別口座で管理する分別管理と似ていますが、会社自体が異なるところで管理される為、よりリスクが小さいと言えるでしょう。

顧客財産の流用防止倒産乖離ができ、投資家保護の観点で非常に優れた事業なのです。

(もちろん、元本割れのリスクとはまた別なので、出資者保護が優れている=元本保証では無いことには注意が必要です。)

そして、このような投資家に優しいファンドを扱うことで、事業者にとっても投資家からの信頼に繋がり、実績作りの基礎になり得るのです。

また、特例事業独自の条件や制約もあるとはいえ、その参入障壁の低さも、間違いなくメリットの一つでしょう。

まとめ

特例事業は通常の不動産特定共同事業への参入、第1号事業者や第2号事業者になることと比較すると、とてもハードルは低いでしょう。

さらに、投資や資産運用において重要な出資者保護の観点でも非常に優れていると言えます。

扱える事業の規模に制限があったり、金融商品取引法の規制も適用されたりといった、特例事業ならではの条件はありますが、事業者としても、投資家に対しても、リスクを抑えたかたちでのファンド運用が可能なのではないでしょうか。

第1号事業者を目指す上での前段階としても十分な実績作りができるでしょう。

今後、不動産特定共同事業への参入を検討される事業者様も、特例事業からはじめてみるのも一つの方法として、ぜひ覚えておいて下さい。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本

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