不動産特定共同事業

不動産特定共同事業-面前取引とクラウドファンディング

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不動産クラウドファンディングの比較サイト-クラウリングです。

突然ですが、不動産特定共同事業の面前事業と不動産クラウドファンディングの違いは分かりますか?

不動産特定共同事業者が増えている中でも、今、一番増えているのは不動産クラウドファンディング。おそらく多くの一般の方が考える不動産小口化商品は不動産クラウドファンディングによるもので、不動産特定共同事業や不特法と言ってもあまりピンとこないと思います。

今回はこの、不動産クラウドファンディングについて見ていきましょう。

不特法(不動産特定共同事業法)改正の歴史

時代に合わせて法も変化していく

不動産クラウドファンディングを知る前に、まずは不特法の歴史を知りましょう。

改正前の不特法では、不動産特定共同事業を行うことは大変困難でした。そこでまずは平成25年、最初の改正が行われます。ここでは特例事業の制度が新たに導入され、不動産取引などによる収益を投資家に分配することを、事業として行えるようになりました。

ただし、この事業を行う為にも厳しい要件があったり、減税の範囲が限定的だったりと、まだまだ参入するメリットが少なく、普及には至りませんでした。

そして平成29年、これまでの課題も見直し、不動産特定共同事業を活性化させるべく、再び改正されます。この改正法では、不動産ファンドの組成・運用が可能な範囲を拡大。さらに、事業を行う為の要件が緩和された小規模不動産特定共同事業が創設されました。(小規模不動産特定共同事業について詳細はこちら)これらの改善により事業者の参入が促され、扱う物件数・種類も増え、市場の活性化につながったのです。

このように、不動産特定共同事業そのものが普及し始めたのが5~6年前くらいのことで、その当時はまだ、契約といえば書面で交わすもの。印鑑の必要なものというのが当たり前の時代でした。しかし、近年はペーパーレス化や印鑑レスが叫ばれるようになり、契約書でさえもオンラインでのやり取りが認可されるようになりました。さらに、不特定多数の人から資金を募集し、事業やサービス、商品開発費を捻出するクラウドファンディングの普及も後押しし、不動産特定共同事業のオンライン化、クラウドファンディング化したサービスが生まれたのです。

不動産クラウドファンディングは不特法の1種?

書面でのやりとりか?オンラインでのやりとりか?

結論から言うと、不動産特定共同事業は、不特法に基づき投資家から出資を受け不動産を購入し、その賃貸や売買の利益を分配する資産運用サービスを行う事業全般を指します。それに対して不動産クラウドファンディングは、それらの資産運用にまつわる業務(契約・運用・配当の分配等)をすべてインターネット上で行う電子取引でのサービス(事業者)のみを指します。(不動産クラウドファンディングとは?詳細はこちら

実は、不動産特定共同事業者になるだけでは、不動産クラウドファンディングを事業とすることはできません。電子取引は認められず、契約書等を必ず書面でやり取りする必要があるのです。オフラインでのやり取りが必須となるのは不便ですし、オンラインが可能な競合他社に勝てなさそうですよね。

では、どうすれば良いのでしょうか?

不動産クラウドファンディングを行うには

電子情報を適正に扱えるか

不動産クラウドファンディングを事業として行うには、国土交通省の定める不動産特定共同事業の電子取引業務ガイドラインに沿った、電子取引業務を的確に行うために必要な体制が整備されていなければならず、それに対する審査を受け、認可を取得する必要があります。

主な要件を要約すると、

電子情報処理組織の管理

不動産クラウドファンディングをするにあたってやり取りされる電子情報は、顧客の住所や連絡先といった個人情報、契約情報や配当の振込先等、顧客財産に関わることまで、機密情報が盛り沢山です。

オンラインで管理するのは目に見えない分(絶対にあってはいけないことですが)情報の漏洩や毀損、滅失といったリスクは、従来のオフラインでのやり取りよりも高いと言えるでしょう。そうしたリスクへの対策はもちろんのこと、万が一があった場合の対処法や規定、責任の所在などを明らかにしておくことが必要です。

電子取引業務を行える事業者か

対象の不動産特定共同事業者の財務状況や事業計画、資金使途その他状況を踏まえ、電子取引業務の取り扱い適否を判断する為の審査を行う為の措置がとられていること。また、その審査結果をホームページなどに掲載し、公表すること。

クーリング・オフ制度の制定

電子取引業務を行う不動産特定共同事業者等は、解除に関する事項をホームページ等に表示し、また、契約成立前書面及び契約成立時書面に適切かつ明確に記載すること。

定期的な情報提供

不動産特定共同事業者は事業参加者(出資者)に対し、不動産特定共同事業の状況について定期的且つ適切な情報を提供することを確保するための措置がとられていること。

以上のようなことが挙げられます。

不動産特定共同事業者になることも大変でしたが、不動産クラウドファンディングをできるようになるのも、なかなか骨が折れそうです。

クラファン化するメリットは?

顧客の増加

そこまでしてでも不動産クラウドファンディングをできるようにするメリットは、やはり顧客の利便性向上により、敷居を下げて間口を広げ、より多くの一般投資家を取り込む可能性が大きくなることでしょう。

そして、契約書や資料の郵送も最小限に抑えられ、事業者側の業務効率も飛躍的にアップしますし、経費の削減にもつながります。より詳しいメリットについては別記事もぜひ御覧ください。

様々な要件や認可が必要で長い道のりにはなりますが、その分、十分なメリットが得られると思います。むしろ、これからはオンラインで完結できない不動産特定共同事業は、どんどん廃れていくかもしれません。

まとめ

クラウドファンディングと言うと、誰でも簡単にプロジェクトを立ち上げ、資金調達のチャンスがある魅力的なサービス。というイメージがある方も多いかもしれません。

しかし、不動産クラウドファンディングはその特性上、取り扱う情報の重要度も高く、ある意味、国のお墨付きをもらわないとやらせてもらえない事業なのです。しかしそれは、顧客目線で見ると安心感にもつながります。

不動産特定共同事業に参入するなら、不動産クラウドファンディングをやらない手はないでしょう。

この記事を書いた人

クラウリング運営会社 サイバーブリッジ株式会社 西本

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