不動産投資の安全性を高めるデューデリジェンスの全て

不動産投資をする際にデューデリジェンスは必要不可欠な業務です。

デューデリジェンスのその重要性、それを怠ることでデメリットについて解説します。

デューデリジェンスとは？

「Due＝正当な」と「Diligence＝義務・努力・精査」の合成語。

デューデリジェンスには「正当な精査」という意味合いがあります。

このプロセスは、不動産投資だけでなく、企業買収（M&A）や株式投資でも行われるものです。

不動産投資におけるデューデリジェンスの重要性

不動産投資においてデューデリジェンスは単なるオプションではありません。

それは必須のプロセスで、不動産投資の成否に影響を及ぼす重要なステップになります。

デューデリジェンスがなぜこれほどまでに重要なのか、3つの側面に焦点を当てて解説します。

信頼性の確保

デューデリジェンスによって、投資対象となる不動産の真実性を確認でき、投資家は安心して資産を運用することができます。

信頼性は、投資家が長期的な成功を収めるためには不可欠です。

信頼できる情報に基づいて投資を行うことで、未来のリスクを大幅に減らすことが可能です。

リスクの低減

物理的側面では、建物の築年数や劣化状況、修繕履歴などを確認します。これにより、将来的なリスクを事前に把握し、それに備えることができます。

リスクの低減は、資産の価値を維持し、さらに増加させるために重要なことです。

物理的な側面についても十分に調査するようにしましょう。

将来的に必要となる修繕費用やその他の出費を予測し、投資計画に組み込むことができるからです。

経済的調査

デューデリジェンスには経済的調査も含まれます。

市場価格や収益性、競合状況などを詳細に調査することで、投資判断がより確実になります。

• 投資対象の不動産が市場でどれだけ競争力があるのか。
• 将来的にどれだけの収益が見込めるのか。

これらを明確にすることができます。

この点については、投資家が資金を効率的に運用するためには欠かせないプロセスです。

不動産投資でデューデリジェンスを怠るリスクとは？

デューデリジェンスを不動産投資を行う前に怠ってはいけません。このプロセスを怠ることで、投資の失敗に直結する可能性が高まります。

高いリスクを抱えたまま不動産投資をスタートしてしまう

あなたが未調査の物件に投資した場合のことを想像してみて下さい。

詳細な調査をしてこなかったために、建物に大規模な修繕が必要であることが後から判明しました。

これにより修繕費用が予想以上にかかり、当初の投資計画が狂ってしまいます。

資産価値の誤認したまま不動産投資を始めてしまう

デューデリジェンスを実施しないことで資産価値を誤認してしまうケースもあります。

例えば、地域の価格相場を調査せずに対象不動産を購入したが、相場以上の価格で購入してしまうケースです。

実際の対象物件の価値は低いため、期待していた収益が得られない可能性が十分考えられます。

法的問題を抱えた状態で不動産投資を行ってしまう

不動産投資では大きなお金が動くため、それに比例して法的リスクも大きくなります。

一例として、土地の権利関係や建築許可に問題があり、後から訴訟を起こされるケースがあります。

法的なトラブルにより、多額の賠償費用が発生する可能性があります。

最悪のケースとして、物件を手放したり、大きな損失を被ることも想定されます。

法的なリスクは非常に厄介な問題です。それらの問題を回避するためにもデューデリジェンスの実施はとても重要なことなのです。

本来回避できるリスクは事前に回避しておくことが大切です

デューデリジェンスを実施することで、ある程度のリスクは回避できます。

本来回避できるリスクを放置するのではなく、デューデリジェンスを行うことでリスクヘッジします。

不動産投資においてデューデリジェンスは、非常に重要なプロセスと言えるのです。

不動産投資のデューデリジェンスの具体的な手順

デューデリジェンスは、その言葉一つとっても、複雑に思えるかもしれません。

ただ、大変なのは精査する項目を決めることとその仕組み作りであって、予め設定した手順に従えばスムーズに進行することができます。

ここでは、一般的なデューデリジェンスの手順とチェックリストを紹介します。

前提調査（プレリミナリー・リサーチ）

• 目的：投資対象となる不動産の基本情報を収集する。
• チェックポイント：地域の市場価格、物件の基本情報（築年数、広さなど）、近隣の環境。

資料請求と分析

• 目的：物件や売主から提供される資料を分析する。
• チェックポイント：売買契約書、土地台帳、建築許可書、過去の修繕履歴。

現地調査（サイト・ビジット）

• 目的：物件の実態を確認する。
• チェックポイント：建物の状態、設備の状態、近隣環境。

金融・法的調査

• 目的：財務状況と法的な側面を確認する。
• チェックポイント：財務諸表、税金、法的な制約や権利関係。

評価と交渉

• 目的：物件の価値を評価し、売買価格や条件について交渉する。
• チェックポイント：市場価格との比較、ROI（投資対効果）の計算。

契約とクロージング

• 目的：最終的な契約を結び、取引を完了する。
• チェックポイント：契約内容の最終確認、必要な書類の提出、支払い。

これらの手順は一例で、物件や投資の規模・目的によっては手順が異なる場合もあります。

しかし、これらの基本的なステップに従うことにより、デューデリジェンスはより効率的かつ確実に行えます。

デューデリジェンスを法的側面から実施する

不動産投資では、法的な部分のデューデリジェンスは非常に重要になります。なぜなら、将来的なリスクやトラブルを未然に防ぐことができるからです。

以下では、法的側面で特に注意すべきポイントとその具体的な例を紹介します。

契約書の内容を確認する

売買契約書を中心とした契約書の精査はデューデリジェンスの必須項目です。

具体的には、売買契約書における買主と売主の責任範囲、解除条件、ペナルティなどを確認します。

これは、契約書の内容が不明確だと、後で紛争が起きた際にどちらが責任を負うのかが曖昧になるからです。

土地の権利関係をチェックする

土地の権利関係に関しては、後々表面化しやすい問題ですので、しっかり確認するようにしましょう。

例えば、土地の登記簿抄本を確認して、所有者が明確になっているかを確認します。

また権利関係に問題がないかを調査するようにしましょう。

権利関係が不明確な土地に投資した場合を想像してみて下さい。

後で、第三者から権利を主張される可能性があり、争いが長期化して問題が複雑化する可能性も十分に考えられます。

建築許可と規制について確認する

建物の規制についても確認するべき重要な項目です。

地域の建築基準法や都市計画法に基づいて、適切な許可を得た建設物なのか確認する必要があります。

結果的に遵法性に乏しいのであれば、建物を解体しなければならない可能性も出てきます。

税金とその他の費用を確認する

不動産投資を始めるにあたって、必要な経費は不動産価格だけではありません。

そこには、固定資産税は登記費用、仲介手数料なども払わなければなりません。これらの費用が予想以上に高いと、投資計画が狂ってしまう可能性があります。

不動産投資に必要な諸経費についてもしっかり確認する必要があるわけですね。

不動産投資でデューデリジェンスのコストはROIで評価する

確かに、デューデリジェンスは初期コストと時間がかかるプロセスです。

しかし、長期的な視点で考慮すれば、その効果はコストを大きく上回ります。

ここでは、費用対効果の側面からデューデリジェンスのメリットを具体的に紹介します。

初期コストは必要な資金として割り切る

専門家のコンサルティング費用、現地調査に必要な交通費、各種書類の取得費用などが初期コストとして発生します。

しかし、これらの費用は将来的なリスクを未然に防ぐための「保険」と考えてみて下さい。

不動産投資は大きなお金が動くため、その分リスクも大きくなります。

リスクを未然に防ぐという意味でも初期コストは必要な資金と考えるべきです。

時間をかけてしっかりと調査する

デューデリジェンスを行うには多くの時間を必要とします。

しかし、この時間への投資は資産価値の正しい評価とリスクの低減に直結します。

時間を使い不動産をしっかりと調査することで、後々のトラブルや修繕費用を削減できます。

長期的な収益性

デューデリジェンスをしっかりと行った場合、物件の選定がより正確になります。

これは長期的な視点で判断すれば、十分収益が見込めますし、投資した以上のリターンが期待できます。

初期コストと時間をかけることで、将来的には高い収益と資産価値の増加が期待できます。

法的安全性を確保する

デューデリジェンスを行うことで、法的なトラブルを最小限に抑えることにつながります。

これにより多額の賠償費用や精神的ストレスを防ぐことができます。

デューデリジェンスを実施することで投資対効果は見込めるのか？

デューデリジェンスにかかるコストは確かに無視できないものです。

しかし、不動産投資全体で考えれば、十分効果が期待できます。

なので、デューデリジェンスはコストではなく、賢明な「投資」であると言えます。

デューデリジェンスが成功・失敗した事例

成功事例：都心のマンション投資

投資家Aさんは都心のマンションを購入する前に、徹底的なデューデリジェンスを行いました。

市場調査、物件の状態、法的側面、財務計画など、多角的に物件を評価しました。

その結果、Aさんは他の投資家よりも早く高収益物件を見つけ、購入に至りました。

数年後、その物件は価値が上がり、高い利益を上げることができました。

このように、デューデリジェンスをしっかり行うことで、高収益物件を見つけやすくなり、長期的な成功が期待できるのです。

失敗事例：郊外のアパート投資

一方で、投資家Bさんは郊外のアパートを購入しましたが、デューデリジェンスを怠りました。

物件の状態や地域の将来性を十分に調査せず、購入を決定。

数年後、その地域で人口が減少し、アパートの稼働率が低下。結果として、Bさんは大きな損失を被りました。

このように、デューデリジェンスを怠ると、未来のリスクを見落とし、投資失敗につながる可能性が高まります。

不動産投資におけるデューデリジェンスのまとめ

不動産投資において、デューデリジェンスは非常に重要なプロセスです。

正確な情報に基づいてリスクを評価し、資産の真の価値を理解することで、より確実な投資判断が可能になります。

デューデリジェンスを怠ることのリスクも高いため、しっかりとした調査が必要です。